独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
組織について
沿革・組織と役割・事業の概要

沿革
組織と役割 2009.4更新
  栽培漁業センター紹介 2010.8更新
業務概要
栽培漁業センター研究課題一覧 2010.8更新

沿革  (2007.4更新)
 栽培漁業は、国が行う沿岸漁業の振興対策の一環として、瀬戸内海をモデル海域に開始され、1962年(昭和37年度)から屋島事業場、伯方島事業場をはじめに6ヶ所の国営栽培漁業センターの施設整備が進められ、その翌年には、国の委託を受けて栽培漁業技術開発業務を実施する母体として(社)瀬戸内海栽培漁業協会が設立されました。同協会はクルマエビ、マダイ等を対象に技術開発を進めてきました。1979年(昭和54年度)には、これまでに開発した成果を受けて、栽培漁業の全国的な展開を図ることとなり、(社)瀬戸内海栽培漁業協会を発展的に改組し、(社)日本栽培漁業協会が発足しました。その後、全国に新たに10ヶ所の国営栽培漁業センターが増設され、合計16の栽培漁業センターで我が国の沿岸漁業の重要魚種約40種を対象に、全国的規模で栽培漁業を推進する体制が整いました。
 一方、2003年(平成15年度)には(社)日本栽培漁業協会は、特殊法人等改革の整理合理化計画を踏まえた効率的な事業実施の観点から、独立行政法人水産総合研究センターに統合され、基礎から応用・実証までの一貫した研究開発の体制となりました。

 水産総合研究センターは、2006年(平成18年度)から第2期の中期計画(平成18年〜22年度)に沿って業務を行っています。また、この期にさけ・ます資源管理センターと統合し、体制の一元化・機能強化を目的として、本部及び地方組織の体制整備を図りました。
 また、同一地域内に複数の施設・組織が存在し、かつ地元自治体や行政組織との関係について整理が必要とされていた3地域と、全国対応が必要で多くの施設・組織が関連する増養殖分野の見直しを図りました。その結果、先行的に厚岸栽培漁業センターを北海道区水産研究所へ、伯方島、百島の両栽培漁業センターを瀬戸内海区水産研究所へ、上浦、古満目栽培漁業センターを養殖研究所へ、八重山栽培漁業センターを西海区水産研究所へ統合し、事務、事業を効率的かつ効果的に進めることになりました。
 栽培漁業の実証に関しては、これまでどおり都道府県の関係機関等と連携して、栽培漁業技術の普及、定着を促進していきます。

・1963年(昭38) 社団法人 瀬戸内海栽培漁業協会設立
・1979年(昭54) 社団法人 日本栽培漁業協会に改組
・2003年(平15) 独立行政法人 水産総合研究センターへ統合
・2006年(平18) 厚岸、伯方島・百島、上浦・古満目、八重山の6栽培漁業センターが
          北海道区水産研究所、瀬戸内海区水産研究所、養殖研究所、西海区水産研究所へ統合
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組織と役割  (2009.4更新)
 水産総合研究センターは平成18年4月に本部組織の見直し並びに水産研究所と栽培漁業センターの統合を図るなどの組織改変をいたしました。
 16ヶ所の栽培漁業センターのうち、水産研究所と統合した6つの栽培漁業センターは、「厚岸栽培技術開発センター」、「伯方島栽培技術開発センター」、「百島実験施設」、「上浦栽培技術開発センター」、「上浦栽培技術開発センター古満目分場」、「八重山栽培技術開発センター」と新たな施設名称に変わり、海区水産研究所の施設となりました。

 栽培漁業センターは、第二期の中期計画(平成18〜22年度)に沿って、「種苗の安定生産技術の開発と飼養技術の高度化」、「生態系機能の保全に配慮した種苗放流資源培養技術の開発」、「新規増養殖生産技術の開発」及び「主要水産資源の調査及び海洋環境等のモニタリング」(都道府県と連携した主要水産資源の放流等の調査)の研究開発を行います。
 これからも、確立された技術をいち早く公立水産試験場や栽培漁業センターへ積極的に移転・普及することを念頭に、幅広いニーズに対応していきます。

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業務概要  (2009.4更新)
 栽培漁業に関する研究開発

1.種苗の安定生産技術の開発と飼養技術の高度化
 水産生物の種苗生産過程において、安定生産を阻害する要因を解明するとともに、餌料生物の効率的な培養法を開発し、健全な種苗の安定的な生産技術を開発します。また、飼料の品質向上等飼養技術の高度化により環境負荷軽減や高品質な養殖魚生産のための技術を開発します。

2.生態系機能の保全に配慮した種苗放流・資源培養技術の開発
 放流種苗の生残を向上させるため、健全種苗の評価手法、中間育成技術を開発するとともに、標識技術の高度化など放流効果の実証技術を開発します。増殖対象種について、天然集団の遺伝的多様性に配慮した資源培養技術を開発します。特に、資源回復対象種である瀬戸内海のサワラについては、日本近海におけるサワラの遺伝的特性及び瀬戸内海の資源動向を把握しつつ、放流効果の実証技術を開発します。

3.新規増養殖技術の開発
 種苗生産が難しいウナギ、イセエビ、クロマグロのような魚介類については、減耗要因を把握し、生残率を向上させる技術を開発します。

4.主要水産資源の調査等
 増殖対象種の放流効果を実証するため、都道府県等と連携して必要な調査を実施します。
 栽培漁業の推進と普及

1.複数の都道府県の海域を移動する栽培漁業対象種について、国、都道府県や関連団体と連携し、対象種の資源の維持・回復に向けた取り組みへの助言や都道府県の要請に応じて必要な支援を行っています。

2.対象種の放流効果、資源状態を把握するために必要なデータを継続的に収集するモニタリング手法と、そのための体制整備について検討しています。

3.都道府県が実施する栽培漁業を推進するため、栽培漁業の実施に関わる情報交換や問題点を検討する栽培漁業ブロック会議や、魚種別分科会を開催しています。

4.栽培漁業技術の普及と定着を図ることを目的に、栽培漁業関係者を対象に親魚養成、餌料培養、種苗生産、放流効果調査等の技術研修を行っています。

5.栽培漁業の考え方や実施状況などを国民一般に伝達・啓発するため、パンフレット等の広報用資材の制作・配付、ホームページの公開を行っています。

6.栽培漁業に対する知識を国際的に広めるとともに、国際技術協力機関を通じた技術者の派遣や海外の研修生の受け入れを行っています。

7.研究開発で得られた成果を栽培漁業関係者へ普及・定着するため 、「栽培漁業センター技報」、「栽培漁業技術シリーズ」、「種苗生産、入手・放流実績」(外部機関へ委託して刊行)等を印刷・刊行して、国、都道府県の栽培漁業関係機関、漁業関係機関等に配付しています。
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栽培漁業センター研究課題一覧 ( 〜2011.3)

 栽培漁業センターにおける研究技術開発体制について

 水産総合研究センターでは資源が減っている魚介類や絶滅の恐れがある生物について、栽培漁業などによって、その資源の維持、回復を図るために、課題を設定して研究開発を行っています。
 研究開発予算は、運営費交付金による一般研究(交付金一般研究)や、水産総合研究センター交付金によるプロジェクト研究(交付金プロ研)等があります。
 また、水産庁や農林水産技術会議などからの委託費による研究も実施しています。

課題名 担当センター
異体類の安定生産技術の開発 宮古小浜
甲殻類の種苗生産に係わる基礎技術の開発 小浜玉野
魚類飼育における初期減耗要因と適正な飼育環境の把握 屋島奄美
餌料生物の品質向上と効率的培養技術の開発 能登島
放流に適した健全種苗の評価手法と育成技術の開発 小浜宮津玉野 五島
冷水性魚類の放流効果調査 能登島
甲殻類の放流技術の開発 南伊豆玉野
重要魚種の資源培養技術の開発 宮古南伊豆小浜宮津屋島
種苗生産が難しい魚介類の飼育に係わる基礎技術の開発 屋島志布志奄美
ブリ親魚の選抜育種と採卵技術の開発 五島
都道府県と連携した主要水産資源の放流調査 全栽培漁業センター
栽培漁業の事業効果評価手法の開発 宮古
種苗放流が遺伝的多様性に与えるリスクの評価と低減技術の開発
有用水産生物の光応答メカニズムの解明及び高度利用技術の開発
トラフグ放流魚の天然海域における再生産効果及び遺伝的影響の検討 南伊豆
ウナギの種苗生産技術の開発
 天然ウナギ仔魚の生息環境に基づく飼育環境条件の適正化
暖流系アワビにおける海水温の変動と餌料環境の変化が
 アワビ類の成長・成熟に及ぼす影響の解明
ワムシの高品質化に向けたゲノム研究 能登島
表現型解析技術と遺伝子連鎖解析技術の高度化による優良系統の開発
 ヒラメ優良家系の探索と不妊化技術の開発
宮津
温暖化に適応した養殖品種の開発
 ヒラメにおける高温耐性関連形質の評価と連鎖DNAマーカー等の開発
新規水産資源生産力向上システムの開発 屋島
サツキマスの閉鎖循環陸上養殖システムの確立に関する試験研究
ウナギの種苗生産技術の開発
 飼育規模拡大のための飼育技術の改良
志布志
カンパチ種苗の国産化及び低コスト・低環境負荷型養殖技術の開発 志布志五島
表現型解析技術と遺伝子連鎖解析技術の高度化による優良系統の開発
 ブリ連鎖地図の作製及びブリの選抜育種に有効なDNAマーカーの探索
五島
マグロ類の人工種苗による新規養殖技術の開発 奄美

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