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| 宮古栽培漁業センター 野田 勉 | ||||||||
宮古栽培漁業センターではクロソイの栽培漁業の研究開発を進めています。クロソイの放流効果については,これまで放流魚が親魚となって成熟していること(トピックスNo.89)や,水揚げ量が4倍以上に増えたこと(トピックスNo.123),漁業者の取り組みで大型魚の水揚げが増えていること(トピックスNo.129)を紹介してきました。さて,今回は,クロソイを「どこに放流すれば高い回収率が得られるのか」ということを調査した結果を紹介します。 |
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| 写真1 約4cmのクロソイ稚魚 | ||||||||
| 私たちは,これまで湾内の岩礁域にクロソイの稚魚を放流していました。しかし,宮古湾内の調査を進める中で,湾奥には藻場や干潟が広がり,天然のクロソイの稚魚が多く生息していることが確認されました。このことから,ここが育成場と考えられました(トピックスNo.143)。 そこで,今まで放流を行っていた湾中央部の岩礁域(通常域)と,その近くにある小規模な藻場(狭域藻場),そして湾奥に広がる藻場・干潟(広域藻場・干潟)の3地点を選び,これらの場所に約4cmのクロソイの稚魚を放流しました。そして,どの程度クロソイの回収率が異なるのかを調べました(図1,写真1,2,3)。 |
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この結果,1歳魚の回収率は,通常域と狭域藻場がそれぞれ約2%でした。岩礁のある場所は天敵となる大型の魚が生息していたこと,そして小規模な藻場は大量に放流すると,放流魚が過密になる状況が発生したことから,高い効果が得られなかったと考えられました。一方,広域藻場・干潟の回収率は約6%となりました。他の地点との差は約3倍となり,湾奥に広がる藻場・干潟はクロソイの放流場所としても重要なことが判明しました(図2)。 これは1歳魚のみの結果ですので,今後2歳,3歳のクロソイが水揚げされてくると,藻場・干潟域の回収率はさらに高くなることが予想されます。 |
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| 図2 クロソイ1歳魚の放流場所別の回収率 | ||||||||
藻場や干潟は稚魚の育成場として必要不可欠な場所ですが,人間の活動の影響を受けやすい沿岸域にあります。一方,種苗放流では,成長や育成場などのお手本となるのが「天然魚」の情報です。今後はこのような藻場・干潟をターゲットにして,生息しているソイ・メバル類などの稚魚の成長や生息密度などの調査を行い,放流適地の条件とは何かを調べると同時に,沿岸環境の保全・活用について考えていこうと思います(写真4)。 |
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| 写真4 藻場に生息するメバル(アカメバル) | ||||||||
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