独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.64 嬉しい便り〜標識魚の再捕報告〜
2009.10.16
宮古栽培漁業センター 野田 勉
秋の夜長に虫の音が響きわたる季節になりました。
宮古栽培漁業センターでは、今年最後の放流となるメバル(シロメバル)が先月海に旅立って行きました(NEWS参照)が、
担当者は今年の反省を踏まえつつ、報告書作成や来年の計画づくり、会議出席などの仕事に精を出します。
そんな中、昨年ダート標識を付けて放流したキツネメバルおよびシロメバルの再捕報告が続々届いており、
現時点の合計で30例を超える報告数があります。
今回はそのような再捕報告について紹介します。
■2009年6月30日:シロメバルNo.3370「遊漁者の初報告&最長移動記録」
いつものように野田が仕事に励んでいると、一本の電話が入りました。
野田 「もしもし、宮古栽培漁業センターです」
Aさん「え〜…そちらはどちらさまでしょうか…?」
野田 「………(どちら様と聞かれても…)
    あ、はい、宮古市崎山にあります宮古栽培漁業センターです」
Aさん「あ〜、そうですか〜、標識のついた魚を釣ったもので…」

去年放流した標識魚について、遊漁者からの報告第一号でした。
今までいくつか報告は来ていたものの、毎朝釣りをしている某主任からの報告
共同研究で来場している大学院生の報告ばかりだったので、とても嬉しくなりました。
ダート標識には通し番号と一緒に
宮古栽培漁業センターの電話番号が記載されているのですが、これが役に立ちました!
電話番号が書いてあったので、とりあえず電話してくださったようです。
遊漁者からの報告第一号(釣った方が撮って下さいました)
野田 「おお!それはありがとうございます!どこで釣ったのでしょうか」
Aさん「岩泉の茂師漁港で、夜中1時くらいに〜」
野田 「岩泉ですか!?」
ダート標識
大きさは5cm程度で、通し番号と電話番号が入っています
キツネメバルとシロメバルを同時に放流していますが、
番号で、どちらか分かるようになっています
岩泉の茂師漁港とは、宮古栽培漁業センターからはかなり北にある漁港です。
その漁港のそばには珍魚の水揚げされる定置網があるので
場所は知っているのですが(さいばい日記クロソイ編参照)、
まさかそんな場所まで移動するとは…
直線距離にすると15km程度ですが、ここは三陸海岸のど真ん中。
リアス式の入り組んだ地形が続いており、車で行っても30分程度かかる場所です。
ちなみに大きさは約13cm、昨年10月に10cmで放流してから約3cm大きくなっていました。
この報告は放流後の成長のみならず、移動状況を把握する手がかりになる、貴重な報告となりました。
■2009年10月7日:シロメバルNo.3375 & 3866「Eメールでの報告〜報告もインターネットの時代〜」
出張明け…
机の上に溜まった山のような回覧文書と書類にぐったりさせられます。
目に見える部分のみならず、パソコンを付けると、ここにも山のようなメール。
容赦ない仕事の山に疲労感が一層高まります。

さて、そんな中、「ダートタグの付いたメバル」という件名のメールが…
あけてみると
「昨日釣った魚2尾に黄色のダート標識が付いていましたので連絡します」
との報告が入っていました。

なんと!標識の報告がEメールで来ていたのです。
疲労感は一気に吹っ飛びました!
18cmの再捕シロメバル。かなり大きく成長しています
標識放流のポスターや栽培漁業センターのホームページには
連絡先としてEメールアドレスも掲載しているのですが、
実際にメールで報告が来たのは初めてです。
今まで電話連絡や市場での発見が主だった標識報告も、
インターネットを駆使した時代になってきているのですね。

場所は放流場所から北に2kmほど行った漁港。
この時の大きさは何と18cm、しかも2尾釣れたとのことです。
6月に再捕された時より大きくなっており、
夏から秋にかけてシロメバルの放流魚は急激に成長する可能性が考えられました。
この他にも数人から電話などで再捕の連絡がありました。
報告して下さった方々には重ねてお礼申し上げます。

再捕報告の1つ1つの情報は、魚の放流後の移動、成長などを解き明かす貴重な鍵となります。
これからも数多くの報告があることを願っていますが、それには皆様の御協力が不可欠です。
なお、報告して下さった皆様には、もれなく宮古栽培漁業センターから粗品をプレゼントしています。
見つけたら栽培漁業センターまで連絡をお願いいたします。
皆様の連絡をお待ちしております!
←前のコラムへ | コラム一覧へ | 次のコラムへ→    
→トップページへ戻る