独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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2009年9月18日 シロメバル稚魚を放流しました
宮古栽培漁業センター 2009.9.29掲載

2009年9月18日、全長7.5cmのシロメバル稚魚7,500尾を岩手県宮古市女遊戸(おなつぺ)海岸に放流しました。

今回のシロメバルは2009年2月22日および3月8日に生まれた魚で、
生後約半年〜7ヶ月です。
また、魚は片方の腹鰭を抜いてあります(腹鰭抜去標識)ので、
天然魚と放流魚の識別が容易です。
メバル類にはシロメバルの他、アカメバル、クロメバルが
存在していますが、シロメバルは3種類の中でも最も大きくなる種類です。
腹鰭抜去標識を施したシロメバル
今回魚を放流した女遊戸海岸は、宮古栽培漁業センターのすぐ近くにあり、
クロソイやホシガレイ、ヒラメを放流している宮古湾の奥部の藻場や干潟とは異なり、
三陸海岸特有の入り組んだ入り江のような地形の場所です。

クロソイの場合、
稚魚は、湾内の藻場・干潟といった場所で育つので、
こうした生息に適した場所に放流しないと放流した効果が現れにくい魚です。
それに比べて、シロメバルの稚魚は
湾内の藻場・干潟ではあまり獲れないのに、
湾の外で行われているイカナゴシラス漁で混獲されることがよくあります。
女遊戸海岸
つまり,シロメバルの稚魚は湾の外、三陸海岸特有の入り江のような場所で
成育しているのではないかと推察されています。

シロメバルの放流には湾外の入り江が適しているということが明らかになれば、湾内で放流して効果の上がっているクロソイに加え、
ソイ・メバル類の栽培漁業に新たな展開が期待できます。今後の調査結果が興味深い魚種です。

(宮古栽培漁業センター 野田 勉)

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