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宮古栽培漁業センター 野田 勉 |
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年末のこの時期、色々なジャンルで今年のトップ○が発表されています。
宮古は今年9月に台風がいくつか三陸の沖を通り、以降も時々海が荒れています。
そのような海では魚も流されるようで、本来この界隈で獲れるような魚ではないのに、何故か市場に水揚げされるものがいます。
こうした魚は市場では「珍魚」扱いされ、放流魚の市場調査もそっちのけの傍ら、仲買さん達の人だかりができている珍魚の場所へ向かいます。
さて、今年魚市場に水揚げされた「珍魚 of the year 2009 in 宮古市の魚市場」候補を4種類、
野田が独断と偏見で「注目度」「珍魚度」「美味度」の三項目に☆を付けて紹介します。
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1.9月17日:ケショウフグ |
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本来南の海に生息しているはずなのに、何故か三陸海岸の中心まで流されてきたフグの仲間。
目の周りに微妙な化粧。これが異性へのアピールになるかというとそうでもなく…何故ならメスもオスも同じ模様。
しかし、地域のマスコミへはアピール満点だったようで、落ちない化粧をしたフグと銘打たれ、
TVから新聞まで、地域ニュースに多く出演した魚。
なお、これは有毒魚。化けるものには要注意。
注目度:☆☆☆☆
珍魚度:☆☆☆
美味度:×
 
ケショウフグ ケショウフグの化粧とつぶらな瞳 |
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2.9月22日:シュモクザメ |
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頭がハンマーの形というだけでも変なのに、目の付き所がその先(叩く部分)という、超個性的なサメ。
このハンマーの部分は高性能レーダーであり、餌生物の微弱な電流を感知できるらしい。
魚類やエビ・カニ類のみならず、イカ類や小型のサメ・エイ、さらに時として人にも噛みつく、外見に似合わず性格が荒い。
岩手周辺では珍しいが、南の方には意外といるようである。
鰭はフカヒレの材料、体は練り製品と、意外と利用価値は高い。
しかし、レーダー搭載の頭部は使われないようだ…
注目度:☆☆☆☆
珍魚度:☆☆
美味度:☆☆☆
 
シュモクザメ、形そのまま、ハンマーヘッドとも呼ばれる。 シュモクザメの顔。どこに目を付けているのでしょう |
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3.11月11日:アバチャン |
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「アバチャン」
基本ボケの野田も、この名前と姿形にはツッコミを入れずにはいられない。
何の名前と思いきや、れっきとした魚の正式な名前(標準和名という)である。
「サチコ(コラム参照)」のように地方名というわけでもない。
アバチャンは「カサゴ目クサウオ科」という仲間に属し、普段は深度数百メートルの場所に生息する深海魚とされている。
そして、この魚はなんと、お腹に吸盤を持っていて、岩に張り付くことができる。
姿形といい、生態といい、人間の想像を超えた深海で生息するための「何か」を持っていると思われるのだが、
悲しいかな、市場ではクラゲの破片と間違われ、片隅に落ちていた…。
食べたことはないが、体は寒天質のため、焼いたらほとんど蒸発してしまうのではないか、と思われる…。
注目度:☆
珍魚度:☆☆☆☆
美味度:?
 
アバチャン。どこからツッコミを入れたらよいものやら… 顔と口。目が点です。 |
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4.12月15日:リュウグウノツカイ |
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細長い形をした、神秘的な名前を持つ魚、その名も「リュウグウノツカイ(竜宮の使い)」。
浦島太郎はウミガメに乗って竜宮城へ行ったというが、本当の竜宮の使いはこの魚なのかも。
硬骨魚(サメ・エイ類を除いた魚)の中で、最も長い、世界最長の魚だが、生態などの情報は謎に包まれている。
食べても味はイマイチらしい。
注目度:☆☆☆☆
珍魚度:☆☆☆☆☆
美味度:☆
 
野田より長いリュウグウノツカイ。 この表情。竜宮城の住人?
せっかく竜宮の使いに会えたのですから、おとひめ様にも会いたいものです。
本当に美女なら特に…あ、でも、タイやヒラメが舞い踊っている光景も捨てがたいですね。
栽培漁業で何とかならないでしょうか…
リュウグウノツカイは「吉兆」を知らせるとされている地域もあるようです。
このコラムを見た人にも、この年末年始、何か良いことが起こることを願っています
(野田はこの魚とツーショットが撮れたことが「良いこと」です♪)。
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| ちなみに、これらの魚は全て標本として、他の試験研究機関に運ばれて行きました。
さて、あなたの判定は? |