独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.144 親子と高校生が大健闘!!ニシンを使った『お魚料理コンクール』  2009/02/19
宮古栽培漁業センター  有瀧 真人
 前回のトピックスで『栽培漁業を通じて沿岸に形成される藻場干潟の重要性や維持・保全の必要性を痛感した私たちは,地域住民,特に子供たちへこのことを伝え,実感してもらうことに取り組み始めました。地域の行政機関や漁業者と共に『宮古湾の藻場干潟を考える会』を立ち上げ,シンポジウムや観察会の開催,様々な会議への出席,授業への参画等,啓発・普及活動を実践すると共に,住民や学校と連携してニシンやヒラメなどの放流を継続しています。』とお話しました。
 今年は2月8日に,この会の象徴でもあるニシンを取り上げ,親子,学生を対象としたお料理コンクールを開催しました。その様子をお伝えします。
 発端は1年前に遡ります。市民に向けての広報活動は3年目を迎え,『出し物』をどうするかで議論が行われました。その中で,今まで見る(藻場の観察会),触る(ニシンの放流体験)と来たのだから,次は食べる(お料理コンクール)がよいのでは・・・という意見が出されました。

 ヨシ!それだ!!と言うことで準備が始まり,若い人たちへのアピールを目的に,対象は親子か学生ペア,材料はニシンを用いることにしました。
 でも,宮古市民におなじみでないニシンの料理でみんな参加してくれるのだろうか??? 不安を抱えつつ,宮古市の広報に【宮古のお魚料理コンクール】開催のお知らせを掲載しました。

 結果的に心配は杞憂に終わりました。なんと15組もの応募があり,厳選な書類審査を経て8組(親子ペア4組,高校生ペア4組)が選ばれました。
ニシン
 何とか,参加者も決まり,コンクールの形は見えてきましたが,まだまだ難問が山積です。材料のニシンが宮古湾で漁獲されるのは2月〜4月ですが今年はさっぱり姿が見えません。当日の必要数(約60尾)がちゃんと手にはいるのか?8組,16人が安全に料理を作れ,参加者を含めて多くの人たちが集まれる場所はあるのか??
 しかし,神様は私たちを見放しませんでした。姿の見えなかったニシンはコンクールの開催される週を待っていたかのように獲れはじめ,会場は宮古市のご厚意で保健センター(食育等の講座が開かれるため,調理器具も会場も文句のつけようが無い)をお借りすることができました。
 さて,いよいよコンクールの開催です。参加者の8組16名の他,一般の方々が約35名,加えて新聞・TV等のマスコミ関係を含め,60名を超える人たちが会場に集いました。

 調理の時間は1時間,まずは生のニシンをさばくところから始まります。高校生の学生はもちろん親子のペアもこれには大苦戦。やはり日頃処理された魚を使うことが多いとのことです。改めて魚離れが進んでいることを実感しました。しかし,3枚に下ろしてからはそれぞれが煮る,焼く,揚げるなど手際よく調理されて,みるみる間に美味しそうなご馳走ができあがっていきます。

 仕上がったものは順番に審査委員(料理のプロや水産関係者,食生活改善に関わる機関の方など)の元へ運ばれ,見た目,味はもちろん普及性やアイデア等を加味されて採点されていきます。一方,会場にも大皿で料理が運ばれ,一般の方々も試食されました。どれもビックリするほどおしゃれで,良い匂いがただよってきます。いや〜たまりません。
 それぞれ甲乙つけがたい作品で審査も紛糾しましたが,今回のコンクールでは親子ペアの作った『フワフワにしん団子のお花あんかけ』が1等(宮古市長賞),高校生男子ペア!!の『ニシンとトマトのさっぱりオムレツ』が2等(宮古振興局水産部長賞),高校生女子ペアの『ニシンのチリソース炒め』が3等(藻場干潟を守る会長賞)となりました。

1位 フワフワにしんダンゴのお花あんかけ

2位 ニシンとトマトのさっぱりオムレツ

  3位 ニシンのチリソース炒め

 最後に審査委員からの講評があり,
1.若い高校生や小学生と親子のペアが地産の食材で料理を創作することのすばらしさ,
2.どれもアイデアに富んだ作品で,その独創性に感心したこと,
3.このような取り組み(コンクール)が今後も継続され,地域から新たな食育が発信されることへの期待が述べられました。
 私も現場にいながら,親子や高校生が喜々として魚料理に取り組む姿に感動すると共に,今後もこのような活動を通じて,地域水産物の普及や消費振興の啓蒙などに取り組む必要性を感じました。
 とにかく,会場の和気藹々とした雰囲気はすばらしく,大変でしたがお魚料理コンクールは楽しい!!!