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屋島栽培漁業センター 中野 昌次 | ||||||||
![]() その後,漁獲量は増加し,現在1,000トンを越えるまでに回復しています。放流魚の追跡調査体制が整った平成14年以降の調査結果から,この資源量の回復には種苗放流が大きく貢献していることがわかりました。 瀬戸内海全体の放流尾数は,平成19年には大型種苗(全長8〜10cm)で27万尾を越えるようになりました(図1)が,今後の課題として大型種苗を低コストで大量に生産することが挙げられます。 |
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図1 瀬戸内海のサワラ漁獲量と放流尾数 大型種苗(全長8〜10cm)換算 |
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サワラでは小型種苗(全長40mm)よりも,その後中間育成して大型種苗(全長100mm)で放流した方が放流効果は高いことがわかっていますが,大型の種苗を低コストで大量に生産するためには,価格の安い餌を十分量確保することが必要となります。瀬戸内海の天然のサワラの稚魚は,豊富に存在するカタクチイワシを食べています。![]() ただし,種苗生産及び中間育成初期に与える小さなイカナゴの確保が特にむずかしく価格も高いので,サワラの増産に対応するためには,量的に確保が容易で低コストの餌料に代替する必要があります。 そこで,解凍したカタクチイワシでも総合ビタミン剤を添加して不足しているビタミンB1を強化して与えれば餌料として使えるのではと考えました。 |
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写真1 飽食状態のサワラ稚魚 | ||||||||
![]() その結果,平成19年の試験で,カタクチイワシをそのまま与えた試験区(カタクチ無強化区)から取り揚げたサワラの筋肉内にはビタミンB1がわずかしかみられなかったのに対し,ビタミン剤を強化した試験区(カタクチ強化区)では,イカナゴにビタミン剤を強化した対照区(イカナゴ強化区)と同等レベルまで体内に蓄積できることがわかりました。 また,平成20年はカタクチ強化区とイカナゴ強化区で再試験を行いましたが,両区とも前年とほぼ同等レベルの蓄積量でした(図2)。また,生残率について2回の試験の平均をみますと,両区の間には差があまりみられませんでした(図3)。 これらのことから,カタクチイワシに総合ビタミン剤を添加してサワラ稚魚に与えることで,高価なイカナゴシラスの代替餌料として使えることが明らかとなりました。 ただし,中間育成開始時の全長35mmのサワラは全長30mm程度のイカナゴシラスは食べてくれますが,カタクチイワシの場合は,体高が高いことなどの理由から食べにくいので,全長25mm以下の小さいサイズを用意することが必要です。 |
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写真2 中間育成での成長事例(香川県提供) |
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この他に任意に餌のサイズを調整できる方法としてミンチ肉の利用を考えてみました。まず,ミンチ肉に配合飼料を混ぜて練り餌状にしたものを全長50mm程度のサワラに与えてみると摂餌が確認されました。また,練餌を成型しペレット状にした餌(モイストペレット)を前述の試験終了後の魚に餌付けしてみたところ,全長13〜15cm頃にモイストペレットを活発に食べるようになりました(動画参照)。 今後, 栄養面に配慮して,より小さいサイズから練り餌あるいはモイストペレットが利用できないか検討したいと思います。 |
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