独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.140 平成20年度栽培漁業ブロック会議が開催されました    2008/12/17
業務推進部栽培管理課  鴨志田 正晃
 栽培漁業に関する施策や技術開発上の課題・問題点等について,関係機関と情報交換及び協議を行うため,水産庁,都道府県,社団法人全国豊かな海づくり推進協会(以下海づくり協会)及び独立行政法人水産総合研究センター(以下水研センター)等の関係者が出席して,栽培漁業ブロック会議が6ブロック(太平洋北,太平洋南,日本海北・西,瀬戸内海,九州西)で開催されました。

 今年度の開催状況は下表のとおりです。

行政関連議題
 栽培漁業の指針となっている第5次栽培漁業基本方針が,平成21年度で終了することから,水産庁から次期第6次栽培漁業基本方針の策定に向けて,考え方,スケジュール,及び検討の方向性等について説明があり,意見交換が行われました。都道府県の栽培漁業関係事業は,都道府県の財政事情の悪化や税源移譲,栽培漁業関係施設の老朽化などにより事業の推進が非常に困難となっています。マダイ,ヒラメなど複数県をまたがって移動する広域種については,各県単独で放流効果を出すことが困難であり,海域の複数県が連携した広域型栽培漁業の実施体制の検討が必要であるといった意見が出されました。
 広域的な種苗の放流調査体制等について検討するために実施している「栽培漁業資源回復等対策事業」の現状と今後の課題について説明があり,関係県が連携して実施する本事業は重要であることから,今後も事業を継続してほしいとの要望が各都道府県から出されました。また,公益法人制度改革に伴う都道府県の公益法人認定の申請への対応状況と課題について意見交換し,共通認識の上に立った対応が必要であり,海づくり協会が,今後も引き続き中核的な役割を担うため,情報交換の場づくりを検討することとなりました。
技術関連議題
 近年の魚価の低迷に伴い,栽培漁業の費用対効果が得られにくい状況にあることから,去年のブロック会議で都道府県から要望が出された他産業への波及効果を含めた総合的な評価手法の検討状況について水研センターから紹介し,大きな関心が寄せられました。
 海域単位での種苗放流の資源への貢献度を評価する手法として,海域単位で混入率を把握することとなり,資源評価調査事業と栽培漁業の調査事業で得られたデータを有効に活用することで共通認識が得られました。
 栽培漁業を経済事業として成立させるため,栽培漁業におけるコスト削減の考え方について説明があり,次に種苗生産段階でのコスト削減事例として閉鎖循環飼育,放流後の生き残りを高める事例として瀬戸内海東部海域のサワラの適正サイズでの放流とトラフグの伊勢・三河系群の適地放流の事例が紹介され,特に閉鎖循環飼育について多くの質問が出されました。
 栽培漁業技術実証試験の事例として太平洋北ブロックではマツカワの好適放流条件の検討,太平洋南ブロックではガザミの中間育成試験,日本海北・西ブロックではキジハタの中間育成・放流試験,瀬戸内海ブロックではキジハタの放流効果調査,九州西ブロックではアップウェリング方式によるアサリの中間育成試験について紹介されました。栽培漁業を継続していくためには放流効果の実証が必要であり,こういった事例の積み重ねが重要と考えられます。
 栽培漁業ブロック会議では,各都道府県の担当者をはじめとする関係者が集まり,様々な意見交換を行うことにより,効率的な栽培漁業の推進に取り組んでいきます。