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写真1 キジハタ親魚(学名:Epinephelus akaara) | ||||||||
![]() 以下に,この成果を導いた飼育技術の改善点を紹介します。 |
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写真2 ふ化後80日目のキジハタ稚魚 | ||||||||
![]() 図1 平成13〜17年度におけるキジハタの生産尾数と生残率の推移 |
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1.餌料のサイズと量 | ||||||||
キジハタのふ化時の全長は1.6mmと小さく,相対的に口のサイズも小さいことから,摂餌できる餌の大きさが制限されます。また,ふ化したキジハタは口が開いて6〜12時間以内に十分な餌が食べられないと,その後の成長と生残に大きな影響が出ることが明らかになりました。そこで,最初に与える餌料として大きさが平均0.15mmという小さなS 型ワムシタイ産株を使用することにし,水中のワムシ密度も従来の5〜10個体/mlから2倍の20個体/ml前後と高く保つことにしました。こうして,キジハタが十分に餌を食べることができる環境を整えました。 |
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2.通気方法と照度の確保 | ||||||||
ふ化後0〜3日目の仔魚は,遊泳力が弱いため水槽の底に沈みやすく,そのまま放置するとほとんど死亡することがわかりました。そこで,仔魚に直接ダメージを与えない程度の弱い通気(1.5l/分)で,水槽の底に一定方向の流れ(平均1.8cm/秒)を作りだす飼育手法を開発しました。これにより稚魚の沈下は激減し,ふ化後3日目の生残率は,これまでの50%以下から80%にまで向上しました。 また,仔魚が摂餌する際に適正な水面の照度を解明し(3,000〜3,500lx),これを量産規模の飼育に応用しました。 |
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3.ウイルス感染の防除 | ||||||||
キジハタの種苗生産では,しばしばウイルス性神経壊死症(VNN)が発生します。このウイルスの防除対策として,親魚からの垂直感染を断ち切るためにnested PCR法で検査したウイルス陰性個体のみを産卵用親魚に使用しています。しかし,ウイルス陰性の親魚でも,長期間飼育するとウイルスを保有する危険性があるため,3年ごとにウイルスを保有していない天然個体と入れ替えるようにしました。また,海水から仔稚魚への水平感染を防除するために,飼育水は紫外線で殺菌しています。 | ||||||||
以上のような飼育技術の改善により,技術開発当初と比較して,生残率は約2.5倍,全長30mmサイズでの取り揚げ時の生残率は約10倍に向上しました。キジハタ量産化に向けての基本的な飼育技術はほぼ確立できたと考えています。 今後もさらに高い目標を持ち続けながら,研究開発を続けたいと思います。 |
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