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漁港内の水域は漁船の係留場所として重要な役割を果たしていますが,一方では幼稚魚の生息場としての役割も担っています。特に防波堤においては,幼稚魚の餌となる生物が付着するなど幼稚魚にとって重要な場所となっています。しかし,多くの漁港は幼稚魚の生息場として十分に機能しているといえず,生物資源が減少してきている今日においてはさらなる機能の強化が求められています。本調査においては,幼稚魚の滞留機能及び餌料生物の培養機能を有する人工構造物を漁港内に設置し,天然幼稚魚の蝟集状況及び人工放流魚の滞留状況等を調査することにより幼稚魚の育成機能を強化させるための漁港施設の開発を目指すものです。 本調査は,水産庁の委託により平成14年度から平成16年度までの3年間で行うこととしておりますが,ここではこれまでに得られた調査結果の一部を報告します。 |
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幼稚魚育成施設(育成試験礁)の設置 |
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調査は岡山県笠岡市白石島新港(図1,写真1)で行い,新港の東側防波堤(全長230m)沿いの港内側に育成試験礁4基を設置しました(図2)。用いた育成試験礁は高さ1.8m×横1.5m×縦1.0m の鉄製のフレーム内に4 段の棚を取り付け,1 段当り9 本,1基当り36本の滞留基盤を設置したものです(写真2)。 滞留基盤には直径0.15m×長さ1.0mの円柱型トリカルパイプ(4cmメッシュ)の中にホタテガイの貝殻及びセラミック(備前焼陶片)をそれぞれ詰めたものを用いました(写真3)。 |
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人工種苗の放流調査 |
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天然魚の蝟集調査 | |||||||||||
天然魚の蝟集効果を調査するため,潜水目視観察を定期的に行い,観察された天然魚は27 種でした。10〜 12月にはチャガラ(ハゼ科)が,5〜8月にはメバルが最も多く観察されましたが,水温が10℃以下となる1〜2月には天然魚があまり観察されませんでした(図3)。これ以外に比較的多く観察された種は,スズメダイ,ハオコゼ,クロダイ等でした。また,通水口前に設置した育成試験礁の方が天然魚の蝟集量が多い結果となりました。 5〜6月にはコウイカ,スズメダイ等の卵が産み付けられており,育成試験礁の産卵礁としての機能が明らかとなりました。10月8日の引き揚げでは,稚ナマコの付着が1基当り150〜600個体程度あり,ナマコ幼生の付着器としての機能も明らかになりました。ナマコはその食性から底質を浄化する性質を持っており,育成試験礁の設置が副次的に漁港の底質浄化に役立つ可能性が考えられました。 |
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![]() 図3 育成試験礁に蝟集した天然魚の目視個体数の推移 |
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今後の調査 |
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これまでの調査結果から防波堤に設置されている海水交換のための通水口が,生物の生息に与える影響が明らかになるとともに,育成試験礁の産卵礁及び幼生の付着器としての効果が明らかになるなど,事前に予想し得なかった効果がみられました。今後はこれらの効果を定量的に把握するとともに,天然幼稚魚の蝟集効果及び人工放流魚の滞留効果等についても継続して調査を行う予定です。 |
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