独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばい日記
ホシガレイ編 2008年2月の日記
 


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 2008年2月26日 不調のサイン(飼育36日目)

3ヵ月になったうちの娘は,お母さんからの免疫が切れたせいか,
たまに熱を出したり,調子をくずすようになりました。
まだしゃべれないので,不機嫌になったり,泣いたりして不調を訴えます。

ホシガレイもしゃべれませんし,もちろん泣くこともできません。
だから不調になると,餌を食べなくなったり,変な行動をしたりして,サインを送ってきます。
このサインを見逃すと,翌朝には星になってしまい,底に沈んで訴えます。

数日前からホシガレイの赤ちゃんが不調のサインを出しています。
餌がいっぱいあるのにぜんぜん食べないし,得意の「くの字」も出ません。
力なく流れに流されているような感じです。
早く改善しないと,みんな死んでしまうかも!

ホシガレイの担当者は朝から晩まで水槽にへばりつき,
あの手,この手とできる限りのことをしました。
なんとか改善に向かってきたようです。
やっと日記を書く余裕が持てました…



上:復調したホシガレイ水槽
  いい群れをつくってます

 不調のときの写真?
 撮ってる場合じゃなかったです

下:得意の「くの字」
  こうやって餌に狙いをさだめ,
  ピーンと伸びて餌を食べるんです
  (36日目)大きさ13mm


まだまだ油断は禁物です。
 2008年2月23日 お引越し(飼育33日目)

こんばんは。今夜は移槽作業を行います。
照明でホシガレイの赤ちゃんを集め,サイホンで隣の新しい水槽に移します。
2つの水槽の水位と,注水・排水のバランスを上手にとれれば,朝には引越し終了です。

ホシガレイの担当者はめんどくさいことが大嫌いで,
これまで1度も水槽の底そうじをしていません(一般的な飼育では毎日行います)。
底そうじの目的は,底に沈んだ食べ残しの餌や糞,死んだ魚を取り除くことですが,
底そうじをするとどうしてもそれらを巻き上げてしまい,
ホシガレイの場合,飼育が不調になることが多いんです。
そこで,あえて底そうじはせずに,沈んだゴミを巻き上げないように注意して飼育してきました。

ホシガレイの赤ちゃんは,もうすぐ変態して(裏表ができて,眼が表側に移動する),
おとなのホシガレイと同じ形になり,水槽の底で暮らすようになります。
ゴミだらけの底で病気にでもなったら大変!
その前に新しい水槽に引越しさせないと・・・今夜がぎりぎりのタイミングでした。







上:照明に集め,
  サイホンで隣の水槽に引越しです

右下:ホシガレイの赤ちゃん
   (33日目)大きさ12.5mm
  もうすぐ変態します

ホシガレイの担当者の机は,
生産期のストレス解消の薬(缶コーヒー)の空き缶であふれそうです。
埃を巻き上げて,みんなが風邪をひいたら困るので,片付けることができません。
隣のきれいな机に引越ししたい。
 2008年2月15日 離乳食?アルテミア(飼育25日目)

2日前(飼育23日目)から,ワムシの他にアルテミアを餌として与えています。
アルテミアは甲殻類(エビカニの仲間)で,耐久卵という乾燥した卵で売られています。
この卵を海水に入れてふ化させ,十分に栄養を取り込ませてから,餌として使います。

ホシガレイは大きさが7mm(飼育12日目)くらいから,アルテミアを食べます。
栄養の詰った小さなカプセルのようなワムシと比べて,
アルテミアは大きいし(大きさ1mm),かたいです(エビカニの仲間ですから)。
そのため,飼育12日目からアルテミアを餌として与えるのは,
生まれたばかりの赤ちゃんにいきなり,離乳食を与えるような感じです。
ワムシばっかり食べてアルテミアを食べてくれない子も出てきて,
そんな子はアルテミアを食べている子に比べて成長が悪く,
大きさに差が出て,その後の飼育がうまくいきません。
そこで,今年はできるだけ長くワムシだけで飼育して,
みんなが大きくなってからアルテミアを与え始めることにしました。

アルテミアをあげ始めて今日で2日目,ほぼ100%がアルテミアを食べてくれました。
今日でワムシも終了です(先輩ありがとうございました)。
この切替を早くするのもコツ?の一つです。



左上:アルテミアの給餌
   赤く見えるのがアルテミアです

右上:アルテミアの幼生
   大きさ1mm

下:ホシガレイの赤ちゃん
  (25日目)大きさ9.5mm

うちの娘はまだまだおっぱいのみです。
いつの間にか抜かされちゃったね。
 2008年2月10日 スゴ腕の先輩(飼育20日目)

この時期,赤ちゃんホシガレイはたくさんの餌(ワムシ)を食べます。
いつでも水槽中に元気なワムシが残っているように,
管理するのが飼育のポイントです。

そんな元気なワムシは毎日先輩職員から供給していただいています。
大量のワムシを安定的に培養するのは,とても難しいことで
ワムシの培養がうまくいかないために,魚の飼育が立ち行かなくなることも多々あります。
しかし,宮古では先輩のスゴ腕のおかげで
培養不調なんてことは,ほとんどありません。

ホシガレイの担当者は赤ちゃんのようにわがままで,
もっとたくさんワムシをくれとか,毎年迷惑ばかりかけています。
すいません。




左:ワムシ培養担当のスゴ腕先輩,
 ワムシを数え中。

右上:ワムシの培養水槽

右下:かわいそうですが,
 赤ちゃんホシガレイを解剖して
 ちゃんとワムシを食べているか観察します。
 100匹以上のワムシを食べていました。

おかげさまで,赤ちゃんホシガレイはワムシをいっぱい食べて,
元気に成長しています(20日目,大きさ8.5mm)。
 2008年2月4日 夜のおっぱい(飼育14日目)

ホシガレイの赤ちゃんは,まだ餌(ワムシ)を食べるのがへたくそなので
この段階でたくさんの赤ちゃんが飢え死にしてしまうことがあります。
そこで,今年はいくつか工夫をしています。
これまでよりもたくさんのワムシを与えること(ワムシに出会うチャンスを増やす),
夜中も照明をつけて明るくすること(明るい時間を長くして食べるチャンスを増やす),などなどです。

おかげさまで,餌食いも良好でちゃんと成長しているようです。

左:照明をつけた飼育用水槽
クロレラ(植物プランクトン。ワムシの餌)が入っているため,飼育水は緑色です。
ワムシがはらぺこにならないように,ワムシの餌も入れてあげます。

右下:ワムシをいっぱい食べた
ホシガレイの赤ちゃん(14日目)
大きさ7.5mm

夜の照明点灯は餌を食べ始める飼育9日目から始めました。
初めのうちは昼夜関係なく餌を食べますが,だんだんと昼夜のリズムができてくると,
明るくても夜は餌を食べなくなります(14日目)。
そうなってくると,そろそろ夜の照明点灯も終了です。

うちの娘はまだ,昼夜のリズムがあまりできていないようで,
夜中もおっぱいを欲しがります。
でもホシガレイの飼育で疲れたパパは,いくら泣いても絶対に目を覚ましません。

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