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小浜栽培漁業センター 山本岳男
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奈良時代に朝廷へ食材を献上していたという歴史を持つ福井県小浜市では、
地元の『食』の魅力を知ってもらおうと、
毎年、小浜市や観光協会などの主催で『OBAMA食のまつり』が開催されています。
今年は10月9日と10日に開かれました。
関西方面からも多くの人が集まるという、この人気のイベントに、
小浜栽培漁業センターは福井県栽培漁業センター、
福井県立大学海洋生物資源臨海研究センターと合同で、今回初参加しました。
これまで、当センターは隣接する福井県栽培漁業センター、
福井県立大学海洋生物資源臨海研究センターと合同で施設の一般公開を行い、
近隣の方々にわたしたちの研究内容や成果を紹介してきました。
しかし、開催場所が町の中心部から遠く不便なためか、参加者は毎回200名以下と少なく、
十分な広報には至りませんでした。
そこで今年は、小浜市の中心部で行われるこの人気イベントに参加して、
より多くの人に3機関それぞれの仕事や栽培漁業についてアピールしようということになりました。
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OBAMA食のまつり |
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今回、水研センター小浜栽培漁業センターは、
『越前ガニ』の名前で知られているズワイガニの稚ガニと、
世界で初めて完全養殖に成功した志布志栽培漁業センターの
ウナギの仔魚(レプトセファルス)と稚魚(シラスウナギ)を展示しました。
そもそも『OBAMA食のまつり』は全国のB級グルメと
地元の食材を紹介するイベントで、わたしたちの参加目的と主旨は若干異なります。
そこを今回は、水研センターが手がけているズワイガニやウナギをはじめ、
福井県栽培漁業センターの手がけているヒラメやトラフグ、バフンウニ、
アワビだって最終的にはA級グルメの食材になるという、
『グルメつながり』で主催者側から参加を了解していただきました。
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3機関の展示ブースの様子 |
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しかし、初参加のわたしたちに与えられた展示ブースは
3機関で幅3.6m×奥行き2.7mと狭く、
当センターの割り当てはパネル2枚分と水槽2個のスペースだけでした。
さらに、当日は朝から雨、二日目は曇時々激しい時雨と劣悪な条件でしたが
B級グルメの集客力は凄まじいものでした。
10時の開会前からすでに屋台の前にはお客さんが並び始め、
小さな小浜市のどこからこんなに湧いて出たのだろうと思うぐらいの盛況ぶりで、
延べ数千人は来られたかと思います。 |
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開会式からたくさんの人が集まりました! |
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わたしたちのブースに来られたお客さんの反応は、おおむね良好でした。
ズワイガニの稚ガニを見たお客さんからは
「この小さいのはいつになったら、売ってるサイズになるの?」
という質問がよくあり、
「10年!」
と答えると、皆一様に驚く…という定番のリアクションをたくさんいただきました。
悲しいかな、『越前ガニ』の本場、福井県ですら、
ズワイガニのことはまだまだ知られていないのだとよくわかりました。
また、おばあちゃんからは
「10年後やったら私は死んでるから、もっと早く大きくしてくれ」
と、返答に困るような激励をいただく場面もありました。 |
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小浜市長(左)もズワイガニに興味津々 |
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ウナギについては報道で完全養殖のことを知っていた方が多く、
ブースの前を通る人たちに
「世界で初めて養殖に成功したウナギを展示してますよー!」
と声をかけると、たくさんの人が
「あのニュースになっていたやつですか!」と見に来てくれました。
ウナギに対する関心の高さを実感しました。 |
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「透明なウナギの赤ちゃんは、心のきれいな人にしか見えません(笑)」 |
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しかし、今回は食のイベントだけあって、お客さんは食べることが目当て。
そのため質問の内容もわたしたちの技術開発の成果よりも
「アナゴの赤ちゃん(ノレソレ)食べたことあるけど、ウナギも同じ味?」
「この小さいカニ、かき揚げにしたらうまそうやな」
「茹でたカニは売ってないんか?」
「カニやウナギで頑張っているのはわかるけど、いつになったら安く食べられるようになるんですか?」
など、食に関することがほとんど。
それだけ関心が高いんでしょうね。
これまでも小浜栽培漁業センターは、イベントや一般公開、またマスコミを通して
ズワイガニの種苗生産に取り組んでいることを紹介してきました。
しかし、残念ながら今回のイベントで、地元小浜市民にすら十分に知られていないということを痛感しました。
これからはさらに積極的に、様々な場を活用して広報活動に努めたいと思います。
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