独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.77 いも〜れ!きょら海 奄美へ 〜水源地って何ですか?〜 2010.12.21
奄美栽培漁業センター 樋口健太郎
「水源地って何ですか?」
これは、昨年奄美栽培漁業センターに赴任し、
「淡水処理棟の管理」という任務を与えられた私がはじめに思ったことです。
先輩方に聞いてみると、
どうやら奄美栽培漁業センターでは淡水処理棟という施設で、
飲料水やシャワー、トイレ、現場で使用する水、
すなわち、淡水を自分たちで作っているらしいのです。
「・・・なぜ??」

実は、ここ奄美栽培漁業センターには町から供給される水道は通っていません。
そのため、裏山に流れる沢水(雨水?)の一部を当センター敷地内までひいてきて、
淡水処理棟で浄化や消毒を行った後、生活水として使用しています。
「水源地」と呼ばれているのは、裏山にある沢水を堰き止めて集水し
ポンプで敷地内の淡水処理棟まで送水する施設のことです。
私の担当する「淡水処理棟の管理」には、
「水源地の掃除」という重要な任務が含まれています。
年に2回、大雨でこれらの施設に流れ込んだ土砂を取り除くのです。


裏山にある奄美栽培漁業センターの水源地



上の写真では、一見きれいに整備されているように見える水源地ですが、
事前に草刈りをするまでは草ボウボウでした。
ここは、奄美大島加計呂麻島の野山の中・・・
「作業中にハブに噛まれた!」
なんてことにならないように事前の準備も大切なのです。

「水源地の掃除」は、まず、ダム部分の土砂を取り除く作業から始めます。
先の奄美大島の豪雨で大量の土砂が腰の高さまで堆積し、
中にはこんな巨大な石も・・・。
今回の掃除は困難を極めました。



スコップで土砂を取り除きます




顔より大きい石があったりして、大変でした…




左)作業前の土砂が積もった水源地のダム部分
右)土砂を掻き出して清掃した後。きれいになると、どれほど堆積していたかよくわかります…



しかし、土砂を退ける作業など、前段に過ぎません。
実は、ここからが大変なのです。

担当者が一番憂鬱な作業、それは・・・
貯水槽の中の掃除です。
貯水槽の中は、暗く、狭くて、胸まで水があって、
しかも底なし沼のようにたくさんの泥がたまっていて…
とにかく気持ち悪いのです。
奄美栽培漁業センターではここをみな「水牢」と呼んでいます。
天井や壁には番人ともいうべき巨大クモがざっと10匹ほど。
この水牢にウェットスーツを着て入り、
クモをよけながら溜まった泥をくみ出すことが
「水源地の掃除」のメインイベントなのです。


左)担当者はウェットスーツを着て水牢の中へ
右)中にはたくさんの巨大クモが…



こうして、半日をかけて任務を無事完了しました。
「水源地の掃除」は直接マグロの飼育には関係ありませんが、
あらゆる作業に必要な“水”を作る上で非常に大切な仕事です。
この任務を担当すると、蛇口をひねればきれいな水が出てくる町の生活にありがたみを感じるようになります。
ただ、あのクモたちが棲んでいる場所の水を飲んでいるのかと思うと・・・

それは考えないことにしましょう。
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