独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.74 プニョプニョ?ザラザラ?!初めての感触に大興奮 ―宮津栽培漁業センター 施設公開― 2010.8.24
宮津栽培漁業センター
暑い日の続く7月30日、宮津栽培漁業センターと隣接する京都府農林水産技術センター海洋センターが合同で施設を一般公開しました。
夏休み期間中ということもあり、両施設合わせて150名もの多くの子どもたちと父兄の方々に参加していただきました。

宮津栽培漁業センターでは、栽培漁業の説明展示コーナーや、
砂にかくれたヒラメの数あてクイズ、地元丹後の海にいる魚に触れ合えるタッチングプールを準備しました。
以下、それぞれの担当者からの報告です。


栽培漁業の説明展示コーナーでは、宮津栽培漁業センターが手がけている
ヒラメやアカアマダイの種苗生産の工程を説明したパネルや
成長に伴って姿が変化してゆく仔稚魚の写真、アカアマダイが作る巣穴を展示した他、
仔稚魚の餌として与えているアルテミア幼生を
実体顕微鏡を使って観察するコーナーを設けました。

また、放流について知ってもらうために、
いろいろな標識方法や種苗を海へ放流する様子を紹介したパネルを展示し、
実際におでこにイラストマー標識したアカアマダイや、
全長60cm、体重3 kgほどの5歳の大きなヒラメ親魚を泳がせた水槽も展示しました。
パネルやサンプルがいっぱい。お勉強になったかな?

夏休みの宿題で「栽培漁業」をテーマにした課題があるようで、
子どもたちの中には真剣に質問してきたり、
パンフレットとして用意した「おさかな瓦版」を一生懸命に選び、
持ち帰って行く子どもが何人もいました。
これをきっかけに、少しでも栽培漁業に興味を持ってもらえたら、うれしいです。
5歳のヒラメ親魚
「1尾で何人分の刺身がとれるんですか?」
ヒラメの数あてクイズでは、ヒラメがあまりにも上手に砂へ隠れるために、
水槽の上から眺めただけで全てのヒラメを見つけ出すのは難しく、
ヒラメを収容した本人ですら内心不安になるほどでした。

そこで、急遽、棒を用意して、
ヒラメの隠れていそうな場所をつつけるように工夫しました。
子どもたちは、それぞれ狙いをつけた場所をつついていましたが、
絶対にいるだろうと思っている場所に何もいなかったり、
思いがけない場所からヒラメがピューっと飛び出してきてビックリしたりしていました。
大人でも見つけ出すことが難しく、
あっちだ、こっちだ、と言って子どもにつつかせるのですが、
何も反応がなく、「おらんやん!」と子どもに叱られる場面もありました。
砂に隠れるヒラメのふしぎな生態に、楽しく触れていただけたと思います。
  「1,2,3・・・」
  「本当に,ヒラメおる?」
子どもたちに一番人気だったのは、タッチングプールでした。
丹後の海に住む魚に「触れて感動」してもらいたいと企画したのですが、魚集めに苦労しました。
最初、敷地内の溝にいるヒトデやサザエを拾い集めましたが、
それだけでは地味な感じだったので、地元の漁協の方々にも協力していただきました。
その甲斐あって、マダイ、イシダイ、マハタ、メバル、スズキ、カサゴ、マダコ、クサフグ、アミメハギ、
ウマヅラハギ、メジナ、キュウセン、クロアワビ、ナマコなど
バラエティに富んだ魚を用意することができました。
これまでの浜回り(市場調査)で地元の漁業者の皆さんとの関係作りに努めた成果です。

子どもたちの反応は、怖がって水に手をつけるのがやっとの子どももいれば、
何のためらいもなく魚をつかむ子どももいたり様々でした。
それでも、最初怖がっていた子どももヒトデやナマコを手始めに、次第に触れるようになっていました。
そうしていくうちに、
「ヒトデって硬い」
「ナマコ、触ると硬くなった」
「フグ、プニョプニョして気持ちいい」
「アミメハギってザラザラしてる」
「つかんだらタコの色が変わった」
「その魚は背びれが痛いから、こうやって捕まえたほうが良い」
など、それぞれの魚の感触や見た目とのギャップ、
また、魚を触るための工夫を子どもたち自身で楽しんでいる様子が微笑ましくもありました。
「どの魚つかまえようかな」
最後に、タッチングプールの魚の入手には京都府漁協養老支所の奥所長に御助力いただき、
小型定置網漁業の三野さん、籠漁業の嶋崎さん、延縄漁業の黒田さんから無償提供していただきました。
この場を借りて、お礼申し上げます。

分担執筆:長副 聡・町田 雅春・竹内 宏行・升間 主計

■関連記事
NEWS栽培漁業センターイベント情報
←前のコラムへ コラム一覧へ | 次のコラムへ→    
→トップページへ戻る