この地域に赴任したての頃
とある市場でマス類の水揚げを見ていた私が
「イヤー立派なカラフトマスですね〜」というと
市場の職員はこんなこともしらんのか・・と哀れむような目で
「イヤ、これは桜ます!」と一言。
私も「一応」魚の専門家を自負しているので、ちょっとカチンと来ながら
「イヤ、イヤ。サクラマス(写真2)はあっちの立派なやつでしょう」と切り返すと
ますます哀れみ度を増した目で
「あれは、真ます!!」
「いや、イヤ、魚には標準和名という物がありまして、日本の共通の名前として、
こちらがカラフトマスであちらがサクラマスと定められています・・・」
「兄ちゃん、ややこしいことはワカランが、こっちは桜ますであっちは真ます!!」
とエライ剣幕。
「・・・ハイ、わかりました」。
また別の日に・・・
大きなマコガレイ(40cmを超える大物)を見てちょっと感動した私が、
「イヤー立派なマコガレイですね〜」というと、
くだんの市場の職員、してやったりという顔で
「これは真がれい、標準和名は知らんけど。」ときました。
ちなみに、この地域でマガレイは「おあか」とか「あかじ」と呼ばれています。
他にもマアナゴが「はも」と呼ばれているため、
はじめの頃は、ずいぶんと安くハモ(関西地方で超高級魚)が売ってるなぁ・・・
と、無邪気に喜んでいました。
転勤すると、よく言葉が大変でしょ〜・・といわれますが、
我々にとって言葉よりも魚の名前になれる方がよっぽど苦労が多い。
けど、しばらくして
「ふくろ」=ケムシカジカや
「めがら」=ウスメバル、
「すいっこ」=クロソイ、
「しょっこ」=ブリの若魚
等々の呼び名がすらすら口から出るようになればその土地になじんだ証です。
そのころには、方言も自然と話せるようになっているモンです。
習うより・・・慣れろですかね。
さて、今夜は「桜ます」のルイベで一杯やりますか。
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