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西海区水産研究所石垣支所栽培技術研究室 武部 孝行 |
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現在、奄美栽培漁業センターのクロマグロの親の飼育に主に使われているのは直径40mの円形生簀です。
奄美栽培漁業センターに見学に来た人からの質問で、時々
「生簀の中ではマグロの泳ぐ方向は決まっているのですか?」というのがあります。
以前は、「地球の自転の回転方向(反時計回り)と同じだ」とか言う人がいましたが、実際は特に決まってはいません。
クロマグロの幼魚(別名:ヨコワ)を生簀網に収容した後、
生簀の環境に慣れるまでのしばらくの間、個々の魚は好き勝手な方向に泳いでいます。
その後、慣れてきますと“群れ”を形成し始め、最終的に時計回り又は反時計回りの一定方向に泳ぎ始めるのですが、
この時に、主にどちら方向に向かって泳ぎ始めるかによって、その後の生簀内での泳ぐ方向が決まってしまうように見受けられます。
ちなみに、今年6月で4歳になったクロマグロが200尾以上泳いでいますが、それらの遊泳方向は時計回りです。
そして、このまま一生、生簀網で飼われている間は一定方向に泳ぎ続けるのです。
ただし、何かパニックを引き起こすようなことが起これば、その都度、遊泳方向を変えますが最終的には元に戻ります。
そして、その結果、「身体の歪み」が生じてくるようになります。
写真の魚たちは反時計方向に泳いでいた群れであり、結果として尾ビレは左内側に向かってわん曲してしまいました。
中には歪みが体型までに及び、正中線を中心に左右非対称になっているものまで・・・。
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写真:
8年近く、生簀網内を反時計回りに
泳ぎ続けたクロマグロ。
尾ビレが左内側にわん曲してしまっている。
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写真左:わん曲した尾ビレのアップ
心なしか尾部にも歪みが・・・。
写真右:体の正中線を中心に
左右非対称に!
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養殖魚として飼っているのであれば、見栄えの問題が生じてきますが、
奄美栽培漁業センターでは卵を産ませることを目的としていますので、外観は別問題として、体内への影響はどうでしょうか?
人間であれば、肩こり、腰痛、疲労感、消化器系への影響が懸念されますし、クロマグロにとっても同様な症状があるとしたら・・・。
う〜ん・・・、これは今後の技術開発に悪影響を及ぼすことにもなりかねないな・・・。
よし!ここは、一つ腕の良い整体師を探さなければなりませんな!
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