独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.1  三陸の海から−宮古魚市場のこぼれ話−
2006.11.08
ヒレナガカンパチとカンパチ
宮古栽培漁業センター 有瀧 真人

宮古湾は親潮の影響をもろに受ける地形であるため
本州太平洋側で一番水温の低い地域といえます。
しかし、秋のこの時期、台風が沖合を走り去ると
「南からのお客さん」が時々市場に顔を出します。

今回紹介するヒレナガカンパチもその一つです。
よく似たカンパチは夏の終わりから晩秋にかけて
今年生まれの若魚(当歳)がまとまって定置網等で水揚げされますが
ヒレナガカンパチは年に数本ときわめてまれな種類です。

両者を列べて比べてみるとわかりますが
ヒレナガカンパチはその名の通り
カンパチに比べて背鰭、腹鰭の前端が伸張すること、
体色は前者が全体的に青味がかって、後者が茶色っぽく見えます。
顔つきも少し違って、ヒレナガカンパチは鼻先のとがったスマートな感じ、
カンパチは鼻が短いため丸顔に見えます。

ブリをはじめとした大型のアジ科魚類は美味で
市場の魚価は高値安定ですが
カンパチは小型の当歳でも味は抜群です。
刺身、たたき、ちょっと気取ってカルパッチョ、何でもござれ。

見た目はヒレナガカンパチがちょっと二枚目ですが
食べてはカンパチの方が一枚上手かな・・・と思います。

魚も人間も同じ・・・と思うあなた
それは三枚目のひがみです。


ヒレナガカンパチ 全長45cm

カンパチ 全長35cm
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