独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばい日記
クロソイ編




クロソイです
水揚げされてます

執筆者プロフィール
宮古栽培漁業センターの野田です。生物好き,魚好きが興じて
この世界へ。現職3年目に突入。
まだまだ勉強中!
 2008年11月30日 番外編17(最終回)〜市場に行こう〜

先日,宮古駅から出ている鉄道「山田線」にはじめて乗りました。
普段はバスで盛岡まで出ることが多いので,実は2年半以上も乗ったことがない路線でした。
実際に乗ると「ああ,この駅はこんな所にあるのか」ということや,
見慣れた建物を見て「こんな風に見えるのか」といったような,新しい発見があるものです。

栽培漁業も,実はそうなのかもしれません。
小学校5年生の教科書にも出てくる,「小さい魚を放流して,自然の海で大きく育てる」栽培漁業。
宮古の地元の人でも,サケの放流は知っていても,クロソイの放流は知らない人がほとんどなのです。
毎年秋になると,宮古市の「産業祭り」という催し物があり,
私達はこの場を借りて一般の方々に栽培漁業の紹介をしてきました。
栽培漁業を皆さんに知っていただくには,こうした取り組みが重要なのだと思います。
この「さいばい日記」も,栽培漁業について,理解してもらうための手助けになれたのであれば幸いです。
さて,番外編含め,およそ半年続いてきた「さいばい日記,クロソイ編(+α)」は,これで終わりです。
これからはトピックスやコラムを通じてクロソイやキツネメバル,メバルをはじめ
様々な話題を発信していく予定です。

歌手,島谷ひとみさんの「市場に行こう」という歌があります。
正直,歌詞自体の流れは良くわからないのですが,一ヶ所,良いなというフレーズがあります。
「いつか悩みの種は夢の花になるから」
野田は飼育で悩み,資料作成で悩みと,様々な悩みを抱えていますが,
前向きに進んでいけば,これが報われる日も来るでしょう。

そして,今日も市場に向かいます。
さいばい日記では,何度も出てきている言葉ですが,
皆さんは,市場という場所のイメージは何でしょうか?
色々な新鮮な食べ物が並んでいる場所でしょうか?
人によって感じ方は異なるかも知れませんが,
野田にとって,市場は新しい発見につながる可能性を秘めた,
ワクワクするような場所です(時々,「悩みの種」も見つかりますが…)。
そんなワクワクするような場所が,読んで下さった皆様にも見つかったり,
再発見したりできるように願い,この日記の締めと致します。

皆様,どうもありがとうございました。


 タモ網片手に,水槽の上の野田。
 またお会いしましょう!


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 2008年11月25日 番外編16〜クロソイの水揚げ最盛期〜

先週,無事に放流効果研修が終わりました。
鋭い質問(職場内からも矢が飛んできましたが…)に冷や汗をかきつつ,
強力な援護を受け,何とか役目を果たすことができました。皆様,どうもありがとうございました。

研修の懇親会の2次会では,「変な学名」で盛り上がっていました(Mogurnda:モグルンダとか…)。
小学校や中学校時代,変な地名の話題で盛り上がったりしましたが,それと同レベルです。

そして,宮古では初雪を観測しました。
横着者で行動がみんなよりワンテンポ遅い野田は,タイヤをスタッドレスに変えておらず,
こちらでも冷や汗をかきました…宮古では冬支度も本格化です。

さて,クロソイの水揚げが最盛期を迎えています。
この日のクロソイの水揚げは約400尾,重さにすると全部で100kgを超えていました!
そして,そのうちの約1/3が放流魚です。
クロソイの放流効果は,今年もちゃんと現れています。

宮古魚市場に揚がるすべてのクロソイ(とヒラメ,ホシガレイ,ニシン)の全長と,
放流魚か,天然魚かを調べています。今日,水揚げされた約400尾も全て調べます。
このように水揚げの多い日には,調査員さんだけでは手が回らない場合もあるので,職員もサポートします。

1日にこれだけの水揚げがあるということは…今年の水揚げが合計でどの位になるのか楽しみです。

放流効果に思いをはせながら,ゆっくり市場を見回り,
買い取り調査(前回のさいばい日記参照)をするクロソイを探したいところなのですが…
大変な調査が終わった頃には,競りが始まってしまいます。
毎日,あと10分早起きができれば市場で余裕を持てるのになぁ…と思うのですが,なかなかできません…
市場は,今やクロソイの水揚げの最盛期。もうしばらく,大忙しの時期が続きそうです。
あとは…もう少し単価が高ければ良いのだけどなぁ…
回収率でヒラメやホシガレイに勝っていても,単価では手も足も出ません…

市場での競り。外はまだ薄暗い。






先日,本部のエライ人からクロソイのイラストを頂きました。
「北の岩場王:クロソイ」とのことです。
このイラストを元にして,クロソイの単価上昇を図りたいところです!
誰か色でも塗って,綺麗に仕上げてくれないかなぁ〜

え,野田の美術センス?
…それは期待しないでください…
 2008年11月17日 番外編15〜市場にて〜

先日健康診断に行きました。
身長が若干伸びていたり,体重が若干増加したり…そして,相変わらずの低血圧で,
血圧の最大が100ありません。
夜明けが少しずつ遅くなり,寒さも少しずつ厳しくなってくる
これからの時期もクロソイの水揚げは続きます。
市場にも毎日出かけます…日に日に朝起きるのが厳しくなっていきます…

しかし,毎日市場に行かないと、魚が増えてきたとか、
今日はここの定置網の水揚げが多い…といった変化に気がつきません。
だから,寒かろうが,低血圧だろうが,毎日市場に行くことは欠かせないのです。

市場にクロソイが水揚げされ始めると,この中の一部を買い取り,まず標識があるかないかを調べ,
標識があれば施された標識をチェックして,魚の放流場所等を詳しく調べます。


  健康診断さながら,くまなく計測      昨年の放流魚,腹鰭抜去標識付き!


さらに,全長,体重を計測し,また,解剖をして何を食べているか?
どの程度太っているか? ♂♀どっち?などを明らかにしていきます。
このとき,頭の中にある骨の1種「耳石」をとり出します。
標識方法の一つとして,この耳石を染色して放流するという方法があります。
放流魚の耳石に標識が施されているかいないかは,重要なデータとなります。


 耳石。これでも他の魚に比べると大きいのです…


藻場・干潟放流の効果はあるのか,その結果は,このような地道な調査で
一尾一尾解剖して調べないとわかりません。

去年は市場の水揚げがある月(大体10月〜翌年1月位)を中心に,700尾程度のデータをとりました。
今年も同じくらいする予定です…が,まだ処理したのは200尾程度と,先は長そうです…
頑張って,毎朝市場に行きます!
 2008年11月12日 番外編14〜クロソイの水揚げ増加〜

先日,後輩と一杯飲んできました。
面白く,かつマニアックな魚介類の話で盛り上がってきました。
「スベスベマンジュウガニ」に始まり(本当にそういう名前なんです),
「スベスベケブカガニ」,
「ヒゲモジャハゼ」,
「レイシガイダマシモドキ」など…類は友を呼びます。
そろそろ忘年会の話題も出てくる時期です。

←某後輩

今年も残すところ,あと2ヶ月となった11月,やっとクロソイの水揚げが増えてきました。
ここ数日,1日に100尾を超す水揚げがあります。
これらのクロソイは,ほとんどが20cm〜25cmの大きさ。
天然魚に混じって,片方の腹鰭が無いクロソイがちらほら見えます。
去年,腹鰭抜去標識を施して放流した1歳魚です。
ちゃんと海の中で生き残っていけるか,ずいぶん心配しましたが,
こうして水揚げされるまでになりました。
ソイ・メバル類の中で圧倒的な成長速度を誇るクロソイは,
他が2歳前後で20cmなのに対して,放流後1年で20cmぐらいに成長し,水揚げされ始めます。
年明けには,なんと30cm近くに成長するものもいます。

市場に水揚げされたクロソイ


市場に水揚げされたクロソイは,毎日,専門の調査員さんが標識の有無と全長を調査しています。
量が多いと,その分調査は大変ですが,放流したクロソイがたくさん水揚げされるのは,
放流したクロソイがちゃんと生き残っているという証拠でもあるので,私たちにとっては嬉しいことです。
こうしたデータを積み重ねて,はじめてトピックスのようなグラフができあがるのです。
しかし,クロソイはホシガレイと比較すると,市場での単価が安いため,
より効率の良い栽培漁業の方法を検討し,取り入れないと採算が合いません。
検討した結果,取り入れている方法の一つに,
場所を変えて放流して,回収率を比較する「比較放流試験」があります。
現在,宮古湾の奥に広がっている藻場や干潟に放流したときの効果を調べています。

数が多いと調査も大変です…
 2008年11月5日 番外編13〜サケと一緒に〜

11月,宮古では紅葉も進み,秋一色です。
落葉が始まる頃には,最低気温が氷点下に突入することでしょう。
今の時期,宮古魚市場で圧倒的な存在感を示しているのはサケです。
近くの川をちょっと覗いても,サケがいます。
「小さな魚を放流して,大きく育てる」という取り組みといえば,真っ先に名前の挙がるサケ。
実際,サケの放流数は放流している魚類の中では圧倒的なのです。
さて,今日はサケの採卵場とふ化場に,
採卵するサケの大きさや体重などを測定する手伝いに行ってきました。

網に入ったサケ。これでも少ないとか…

採卵場では,川に戻って来たサケを網で捕まえて,人工授精(卵と精子を掛け合わせる)します。
その作業の途中ですばやく測定し,データを取るのです。
サケを捕まえてから人工授精までの時間が短い方が,受精やふ化の割合が高くなるそうです。
ですから現場は大わらわです。そして,そのドタバタしている合間を縫って測定します。
手慣れた調査普及課長の脇で,ワタワタしながら何とか終えることができました。


  サケの人工授精                卵の管理をお手伝い

その後は,ふ化場への卵の輸送作業などの手伝い。
クロソイやメバル以外の魚を見ることも重要なので,良い勉強になります。
作業の一つ一つには,過去からの技術が生かされているようです。
例えば,卵の輸送では隙間を作らないよう,ぎゅうぎゅうに詰めるのですが,
実はその方が,衝撃が少ないからなのだそうです。
何もかもが初めての体験,楽しい一時でした。
 2008年10月28日 番外編12〜資料を作ろう〜

前回は会議出席の話をしましたが,
それ以外にもこれから会議や出張,研修などのイベントが目白押しです。
先日の土曜日(25日)は,宮古市役所主催の市民講座があり,職員総出で講演を行ってきました。
栽培漁業の取り組みを,広く一般にも知ってもらうための企画です。

講演中の野田

毎年この時期に宮古栽培漁業センターで行っている,
市場調査を中心とした放流効果調査・解析手法に関する研修」が近づいてきました。
野田の今年の担当は,標識手法についての講義です。
受け持つ講義内容は,職員みんなで検討を重ね,厳しくチェックされます。
自分では理解しやすいように仕立て上げた…
つもりなのですが…職場の先輩にさえ上手く伝わりません。
いつもながらの鋭い指摘を受け,訂正していきます。
「わかること」
「頭の中で理解,整理すること」
「説明すること」
をちゃんとつなげることの難しさを痛感しつつ,パソコンに向かいます。
このところ,出張の合間はこうした作業に追われています…

今朝は大学の同期と,「カガミダイの食べ方」について討論している夢を見ました。
近頃そういう感じの夢が多い気がします。
何でカガミダイなのかと言われてもサッパリわかりませんが,とにかく楽しく話をしていた夢でした。
潜在意識の奥底に何かがあるのでしょうけど…
夢占いなるものもあるようですが,後でやってみましょうかね…


 最近よく市場で見るカガミダイ         夕方の職場にて…パソコンと奮闘中
 2008年10月23日 番外編11〜暖水性メバル・カサゴ分科会出席〜

夢に上司が出てきました。
「卵割(クロソイの卵と精子が受精した直後の段階)を考えろ!」
というようなことをひたすら言われ,朝起きたのに何故か疲れている自分がいました…
まあ,現実でも上司に見せなければいけない論文がずっと滞っており…
野田なりにプレッシャーを感じているのかも知れません。

そのプレッシャーの原因の一つに,
今の時期になると予定に入ってくる会議出席と研究発表があります。
魚を育てるのも下手なのですが,研究発表も同様で,
練習をしては先輩から鋭い指摘を矢のように受けています。
たいへんありがたいことなのですが,やっぱりへこみます…

メバルの仲間の種苗生産は,宮古栽培漁業センターをはじめ,
全国の水産試験場や栽培漁業センターなどでも行われています。
それら関係機関が集まって,有益な情報を交換しよう,ということで,
先日「暖水性(←暖かい水域に生息するという意味)メバル・カサゴ分科会」
という会議が開催され,出席してきました。
各生産機関や水産試験場で行われた様々な種苗生産試験の事例は,非常に勉強になりました。
野田は今年行ったクロソイの種苗生産方法と,放流効果調査について話をしてきました。
出席者から様々な意見を受け,自分の技術の無さを痛感…でも落ち込んでばかりもいられません!
宮古栽培漁業センターの強みの一つは「放流効果調査」です。
「放流魚がどのくらい水揚げされているのか」を明らかにするのは大変ですが,
栽培漁業を行う上で,とても重要なことです。
今までに得られたクロソイの放流効果を紹介してきました。

会議後の懇親会で判明したことがありました。
なんと,遠く離れた生産機関にも,この「さいばい日記」を読んで下さっている人がいたのです。
すごく嬉しかったです。
あまりの嬉しさに,ちょっと飲み過ぎてしまい,
お世話になっている方にさらにお世話になってしまいました…


 発表中。いつもと違う雰囲気…
 2008年10月17日 番外編10〜腹鰭抜去標識を施したキツネメバルを放流〜

気がついたら,いつの間にか番外編も10回目に突入しました。
ここ最近,クロソイのネタが少ないのですが,キツネメバルやメバルの作業が続いていましたので…
ちゃんとクロソイの事も圏内に入れて,気にかけながら,作業を行っています。本当ですよ!
まあ,野田の携帯は職場では圏外ですが…野田の存在が圏外にならないように頑張ります。

さて今日は,一昨日,腹鰭抜去標識を施したキツネメバルを放流します。

放流方法はダート型標識の時とほぼ一緒。
バケツリレーで輸送水槽に積み込み,宮古栽培漁業センター前の浜まで運んで,放流します。


    毎度おなじみ,バケツリレー       放流作業。ダート型標識放流の時と同じ方法です

約6cmのキツネメバル達は,無事に海へ泳ぎだしていきました!
彼らにとって,ここからがスタートラインです。
そして,私達もここからが新たなスタートラインです。
これから市場調査を行い,
放流したキツネメバルたちがどのぐらい水揚げされるのか等の調査が始まります。
しかし,今まで何度も放流してきたクロソイと異なり,
キツネメバルはまだまだ生態に謎が多い魚です。
放流後,ちゃんと生き残っていけるのか,
本当にこの場所が放流場所として適していたのか等,
不安なことはたくさんあります。
でも,再来年くらいには,市場で再会できるといいなぁ〜と思います。
そして,高い回収率や水揚げ量増加など,良い放流効果がきっと得られる!と信じて待つことにします。


    放流されたキツネメバル

さて,正念場のダート型標識魚放流,ヤマ場の今回の腹鰭抜去標識魚放流を乗り切りました。
来週は10月も下旬に突入。
いよいよ修羅場です。
 2008年10月15日 番外編9〜キツネメバルの腹鰭抜去標識〜

10月は忙しい時期です。
10月上旬は正念場,10月中旬はヤマ場,10月下旬は修羅場です(某CM参照)。
まあ,毎月そうだと言われればその通りなのですが。

さて,ヤマ場の今週,今年産まれたキツネメバルを放流する日が近づいてきました。
今回は,先日放流したときに付けたダート型標識とは違うタイプの標識を施します。
7月にクロソイで行った「腹鰭抜去標識」です(さいばい日記7/31参照)。

ダート型標識の付いた魚は目立ちやすく,見ればすぐに放流魚とわかります。
また,標識に電話番号が書かれているため,
発見者から報告をしてもらえる可能性が高いという利点があります。
しかし,ダート型標識は放流後に脱落しやすいという欠点もあります。
だから,この標識を用いた場合,放流の効果を見極める手がかりとなる
「放流した魚のうち,何尾が市場に水揚げされるか(回収率といいます)」を,
正確に把握することができません。

一方,腹鰭抜去標識の場合は,一見,天然魚か放流魚かわかりません。
標識が施されているかどうかは魚をひっくり返さないとわからない上,
発見者が「腹鰭抜去」という標識を知っていて,はじめて役割を果たすものです。
しかし,ダート型標識と違って標識がなくなる恐れは少なく,
たとえ抜いた鰭が再生するようなことがあったとしても、
飼育試験で再生する割合を把握できるので,回収率が算出できるのです。

というわけで,今年はキツネメバルが
「放流後どこまで移動するのか??」を調べるのに適したダート型標識と
「どれくらい水揚げされるのか??」を調べるのに適した腹鰭抜去標識の
2段構えで調査を行います。 

腹鰭抜去標識の手順はクロソイの時とほぼ一緒ですが,今回標識を施す尾数は3万尾。
宮古栽培漁業センターの職員だけでは何日もかかってしまいます。
そこで,今回は宮古市,宮古地方振興局の方々が,合計で11名,助っ人に来てくださいました。
職員と合わせて22名,心強い協力に深く感謝です。
この人海戦術の結果,無事1日で標識付けを終了しました。
作業中に死んでしまった魚もほとんどいなかったようです。
あとは,放流を待つのみです。


  みんなで標識作業                取材対応(地元のマスコミ関係者と)
  (野田(一番左)は,今回もカウント係)

ところで,最近他の魚のお話ばかりで,
クロソイが後まわしになっているように思われるかも知れませんが,
市場には毎朝,ほぼ欠かさずに行っています。
クロソイの水揚げもだんだんと増えてきました…
が,もう少し,いや,市場調査が大変になるくらいのクロソイが見たいです!
今後に期待です…と,最近ずっと言っていますね…
 2008年10月9日 番外編8〜キツネメバルとメバルのダート型標識放流〜

標識作業の翌朝は,魚の様子がとても気になります。
標識のダメージで魚が死んでしまっていたらどうしよう,とか,
生け簀の中で標識が外れてしまっていたらどうしよう,とか…
そんな野田の不安は,魚をこの目で確認するまで消えません。

しかし,魚を見て一安心。
ほとんどが元気で,標識もちゃんとついています。
野田の飼育に耐えてきたのは伊達じゃありません。


  ダート型標識を装着したキツネメバル     ダート型標識を装着したメバル

魚の無事が確認できたら,いよいよ放流です。
今回は宮古栽培漁業センターのすぐ前にある海水浴場の岸壁から放流です。

スライダーを使って,なるべく魚にダメージが無いように放流します。
すでにダート型標識で少なからずダメージを負っているので,慎重に。
ここで無茶して標識が外れてしまったり,魚が弱ってしまったりしては,これまでの苦労が台無しです。


          放流風景             バケツを使って,慎重に

放流作業は無事に終わりました。
今回放流したキツネメバルやメバルは,生態に謎が多い魚たちです。
放流した後,どのような行動をとるのか全くわかりません。
ほとんど移動せず,同じ場所に留まっているのか,
それとも放流地点を離れ,遠くまで移動するのか,移動するとしたらどこまで行くのか。
しかし,何もしないで放流後の魚の行動をいくら考えても,答えは出てきません。
こういう時は行動あるのみ,ということで行ったのが,今回のダート型標識の放流試験です。
その答えは,今回放流した魚たちと,それらを発見してくれる人の協力があって明らかになるものです。
数年後に現れる結果がとても楽しみです。

なお,今回の標識放流の詳細は,後ほどトピックスで詳しく紹介します。
 2008年10月8日 番外編7〜キツネメバルとメバルのダート型標識装着〜

通常生活における野田の行動範囲は狭く,大体宮古市内で生活が完結しています。
食料も生活雑貨も市内で揃い,過ごしやすい場所であることと,
やる仕事が多い(仕事が遅いとも言う)こと,お金が無いことも要因となっています。
ということで,滅多に市外へ出ません。

宮古栽培漁業センターで育てているキツネメバルとメバルたち。
彼らは放流後にどう移動するか,まだ良くわかっていません。
放流後の移動範囲が広いのか,狭いのか。
これは,栽培漁業を行う上で,必要不可欠な情報です。
今年はこれらを調べるため,初めてキツネメバルとメバルに標識を付けて放流します。

そして,今日はこれまで時々さいばい日記にも登場してきた,去年生まれのキツネメバルと,
今年産まれたメバルに,職員総出でダート型標識を付ける作業を行います。
(今年産まれたキツネメバルは,また別の方法で放流します。詳細は後日)。

使うのは5cmくらいの,黄色いダート型標識。
電話番号や通し番号が入っていて,標識のある魚を見つけた人が連絡できるようになっています。

これを1尾1尾に装着していきます。
作業は「装着実行部」「ダート型標識チャージ部」「魚配付部」に分かれて,
「魚配付部」は魚を,「ダート型標識チャージ部」はダート型標識を,
それぞれ「装着実行部」によどみなく補充しなければいけません。
これが上手くまわらないと,「魚お願いします!」や「ダートお願いします!」という叫び声があがります。


  ダート型標識と装着したキツネメバル          標識装着作業

皆さんの強力なサポートを得て,1日でキツネメバル2,000尾,メバル3,500尾に
装着することができました。ご協力に感謝します。
次はいよいよ放流作業です(次回へ続く)。
 2008年10月3日 番外編6〜親魚の管理〜

市場に揚がってくるクロソイの数が若干増えてきました。
でも,まだまだ十数匹程度…その多くは20cm台の去年生まれの1歳魚です。
去年放流したクロソイも,ちらほらですが混じっています。
そんな中で,時々40cmを超えるような大きなクロソイを目にすることがあります。
この大きさからして3歳は超えているこれらの成熟したクロソイ達は,
今や交尾の時期を迎え,パートナーを探して移動を始めているようです。

あれ,子供が生まれるのは5月では…?(さいばい日記5月参照)。
クロソイは交尾してから出産まで,半年ほどかかる魚なのです。

宮古栽培漁業センターのお父さん,お母さんクロソイも同様です。
交尾が始まると,通常でもストレスに弱いクロソイを,
もっと丁寧に扱わなければならなくなります。
そうなると,水槽の底掃除すら思い切ってできなくなります。
なので,今のうちに親魚を綺麗な水槽に移動させて,新しい環境で飼育を行います。
4月に出産前の移槽をしたときと,要領は一緒です。
作業は,みんなに手伝っていただきました。どうもありがとうございました。

親魚には個体識別ができるように,ピットタグという電子タグが付けてあります。
こうしておくと,大きさの変化などのデータの集積にかかる手間を省くことができるのです。
大きな水槽から,クロソイを1尾ずつ取り上げて,
オス・メスの判別をしながら,全長,体重を計っていきます。
しかし,約50cm,2kgほどのクロソイが,計測中に大人しくしてくれているわけもなく,
これでもかと思うくらい暴れまくります。
「大人しくして!」
という言葉が通じるわけもなく,モンスターペアレントという言葉が思い浮かびます(意味違うか)。
タオルやぞうきんで目を隠すと大人しくなる場合もあるのですが,きかない魚は何をやってもききません。
手袋は必須ですが,クロソイのトゲの前では気休め程度で,刺さると痛い思いをします。
この作業の後は,手のひらに若干の傷が残ります…

野田は,ここ最近思うように運動できていない上に,よく寝るので体重が増加傾向です。
この年でメタボリックにはなりたくないのですが…体重増加をクロソイにも分けてやりたいです。

 
     電子タグを読み取って…          全長を測って…

 
     暴れる魚の重さを量って…         新しい水槽へ到着!
2008年8〜9月の日記へ