独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばい日記
トラフグ編 2009年3月掲載の日記



2009年3月
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 2009年3月24日 矢は放たれた! 2009.3.31掲載

親フグ水槽の温度を上げると同時に,いよいよ産卵に向けたとどめの処置を施します。
今日は,5尾の親フグに対して排卵誘発剤を投与します。
3月下旬のこの時期に,卵の大きさが0.9ミリメートル以上の親フグに
排卵誘発剤を投与すると,10日前後で産卵日をむかえます。

排卵誘発剤のペレットを注射器の先端にセットする。


雄親フグが同居していない水槽の中では,
メス親フグは産卵日をむかえても,お腹の中の卵を水中に産み落とすことは,まずありません。
そこで,親フグのお腹の中から卵を搾り出すのは私たちの重要な役目となります。
しかし,卵を搾り出すタイミングの見極めが,非常に難しいのです。
もしも,搾り出すタイミングが早すぎると,未熟な状態の卵を搾り出してしまうことになります。
逆に,搾り出すタイミングが遅すぎると,卵はすでに過熟となっています。
搾り出した卵が未熟であっても過熟であっても,
その卵からフグの赤ちゃんが生まれてくることは決してありません。
なので,卵が完熟となったパーフェクトなタイミングで,卵を搾り出さなければなりません。
大変なのは,お腹の中の卵が完熟の状態にあるのは,せいぜい24時間足らずしかない,ということです!
よって,搾り出すタイミングが1日ズレるだけで,卵が完熟の時期を逸してしまうことになります。
今までの苦労がすべて水の泡ということに!
これは気が抜けません。
なので,これからは5尾の親フグに対する診察を毎日欠かさずに実施して,
産卵日が来たことを正確にとらえなければなりません。


さあ,それでは今日の作業に取りかかりましょう。
水槽からすくい上げた親フグを麻酔で眠らせて体重を測定します。
そして,マットの上にうつぶせに寝かせて,
それぞれの親フグの体重に見合った量の排卵誘発剤を注射器で筋肉中に打ち込みます。
最後に注射した部分を,皮の上からモミモミと揉んで
「がんばってたくさんの卵を産んでくれよ!」とおまじないをかけます。

親フグの筋肉中に排卵誘発剤を注射します。


これで私たちにできる処置はすべて完了です。
ここから先は,親フグたちが今日までに蓄えてきた体力だけが頼りです。
もう,後戻りはできません。
親フグたちも私たちも,ここからが本当の真剣勝負です!!
過去の日記

 2009年3月23日 ぽかぽか陽気で春到来! 2009.3.27掲載

さて,産卵が間近に迫った5尾の親フグたちは,
健康ランドの大浴場を深くしたような作業性の良い水槽に移ってきました。

さて,いよいよ4月上旬の産卵に向けて,大詰めの処理を施していきます。
まずは,水槽の中の海水の温度を上げていきます。
現在,親フグが入っている水槽の水温は14℃前後です。
これを1日に1℃ずつ3日間ほどかけて17℃台にまで上げていきます。

すると親フグたちは
「あら,もう春が来たようね。卵を産まなくちゃ!」
と錯覚してしまう,というわけです。
注意しなければならないのは,温度の上昇をあまりゆっくりと進めてしまうと,
親フグたちが刺激として感じとってくれない恐れがあります。
なので,1日に1℃ずつ,グングングンと一気に温度を上げていきます。
親フグたちは「今年は春の訪れが早いのね」 とちょっとびっくりしているかもしれません。

選り抜きの親フグたちは新居にお引っ越し。







親フグ水槽の水温は現在14.3℃。
ただいま,水温を15.0℃まで上げるように
温度調節計の設定を変更しました!








南伊豆栽培漁業センターの敷地内にある桜も
満開となりました。
丘のうえにも春到来です。
 2009年3月18日 その2 「タラコ」の触感!? 2009.3.24掲載

体重測定の次は,お腹の中の卵の大きさを測定します。
でも,どうやって?
まずは,親フグのお腹の中から卵を取り出します。
卵の採取には注射器の先に,やわらかいチューブを取り付けた専用の器具(カニューレ)を使います。
このチューブを親フグの総排泄腔から卵巣に向けて挿入します。
そして,注射器のピストンをゆっくりと引くと,お腹の中の卵が少しだけ吸い出されてくる,というわけです。
皆さんよくご存知の「タラコ」で例えるならば,薄皮に包まれた「タラコ」の中心部へチューブを挿入して,
中のツブツブの卵を,注射器で吸い込んで取り出すような感じです。
しかし,親フグのお腹の中を透かして見ることはできないので,卵の取り出しには,いつも苦労させられます。







チューブを付けた注射器(カニューレ)で
お腹の中の卵を少しだけ取り出します。



体重測定を終えた親フグを,マットの上にあお向けに寝かせます。
そして,親フグのお腹の膨らみ具合を見たり,お腹の上から卵巣の辺りを
ポニョポニョと触ってみたりすることで,お腹の中の卵巣の位置や大きさを想像します。
診察を待つ親フグたちは,年齢,大きさ,成熟具合も様々ですので,
親フグそれぞれの状態をしっかりと見定めておかなければなりません。
そして,いよいよチューブを総排泄腔から卵巣に向けて慎重に挿入していきます。
この時,チューブがうまく卵巣に入っていくと,「タラコ」の卵のツブツブの中を
チューブが進んでいくような手ごたえを感じることができます。
チューブの先端が卵巣の真ん中辺りまで進んだと思ったら,
今度はチューブを少しずつ引き抜きながら,同時に注射器のピストンを引いて卵を吸い取っていきます。
ゆっくり,ゆっくりとピストンを引いていきます。
すると,吸い出されてきたものがチューブの中に透けて見えてきます。
卵よ出てこい!

しかし,チューブが卵巣の位置とは違う方向に入ってしまうことも度々で,
その時には親フグのオシッコが採れてしまいます。
なので,引き抜いてきたチューブの中にツブツブの卵が透けて見えてきた時には,うれしくて思わず,

キターーーーーッ!

と織田裕二風に叫びたくなる心境です。







お腹の中から少しだけ卵を取り出します。
すぐ終わるから静かにしていてね。



さて,悪戦苦闘しながらも,どうにか親フグたちから卵を取り出すと,
次は,いよいよ卵の大きさの測定です。
測定には万能投影機と呼ばれる顕微鏡のオバケのような装置を使い,
スクリーンに拡大投影された卵の直径を測ります。
この間,親フグたちは再び個室の水槽に入って,診察結果が出揃うのを待ちます。








親フグのお腹の中から取り出した卵を
拡大投影して大きさを測定します。

直径が0.9ミリメートル以上になっていれば,産卵は目前です!



卵の大きさの測定が終わり,ようやく診察結果が出揃いました。
今日の診察で,体重の増減と卵の大きさの2つの条件をクリアした親フグは全部で5尾でした。
条件に満たなかった残りの親フグたちは再び大きな水槽に戻り,次回の出番を待つことになります。

一方,選り抜きの親フグ5尾は他の親フグたちと別れて,産卵のための専用の水槽へ移動です。
そして,来週からは,この5尾に対して,いよいよ産卵に向けた大詰めの処理を施していくことになります。







クーラーボックスに入れられて,
産卵のための専用水槽に運ばれていく選り抜きの親フグ。
 2009年3月18日 その1 お願い! 太っていてね,目方でドン! 2009.3.23掲載

今日は,親フグたちの診察日です。
今日の診察結果で,今シーズンに受け入れた
親フグたちそれぞれのコンデイションが,ほぼ判明してしまいます。
わたしたちにとって,ハラハラドキドキの一日です。
親フグたちも産卵が直前にせまってデリケートになっています。
機嫌を損ねないように,慎重に作業を進めなければなりません。

まずは,大きな水槽の海水を,人が入れる深さになるまで排水します。
そして,胴付長靴を履いた職員が水槽の中に入って,
親フグたちを追いかけてタモ網で捕まえます。
しかし,親フグたちも「捕まるものですか!」と必死に逃げ回るので,
そう簡単に捕まえることはできません。
フグは泳ぎが下手なイメージがありますが,実際は,とても素早いんです。

さらに,タモ網で捕まえてからも厄介です。
トラフグは歯がとても強いので,「私を捕まえて何をするの!」 と言わんばかりに,
タモ網のネットを噛みちぎってズタズタにしてしまいます。
まったく世話のかかる親フグたちです。







「成生さん,うしろ〜,うしろにいる〜」 
親フグたちを傷つけないように,必死になって捕まえます。



汗だくになりながら,すべての親フグをタモ網で取り上げて,
1尾ずつ個別の小さな水槽へ収容します。親フグの取り上げが終わると,いよいよ診察です。
1尾ずつ麻酔で眠らせた後に,体内に埋め込んだICチップ(標識)の番号を
機械で読み取り個体を識別します。






お願いだから,暴れないでね。
親フグの状態が良く見える透明な水槽に移して
麻酔を施します。



そして,運命の体重測定です!
栽培漁業センターへ到着した時の体重などを記したメモを横目で見ながら,
デジタル体重計の上に,静かになった親フグをのせます。
「せえの,目方でドン!(古っ)」
体重計の液晶画面に,本日の体重が冷酷無情に表示されます。 
「ヨッシャー 太ってる! いいぞ,いいぞ!」
「あちゃー ,激ヤセしてるぅ〜 残念!」
体重を測定する度に,みんなで一喜一憂します。
まるで日々ダイエットに励む あ・な・たのように!!






運命の体重測定。
ヨッシャー,5.4キロ!
0.2キロのアップです。
 2009年3月17日 明日は ドキドキ診察日! 2009.3.18掲載

親フグたちが栽培漁業センターへやって来ておよそ1ヶ月,
明日は親フグたちに対する最初の診察日です。
明日の診察結果から,4月上旬に卵を元気に産んでくれそうな親フグを選抜します。
水槽の上から眺めていると,みんな元気そうに見えますが,
実は,しっかりと餌を食べている親フグは半数ほどです。
外見からはわからない傷を負っているものや,環境の変化に馴染めないものなど,
すぐに死んでしまうことはありませんが,次第に体力が落ちていきます。
残念ながら,体力の低下した親フグからは,良い卵を得ることはできません。
ここが野生の親フグから短期間の養成を経て卵を得ることの難しい部分です。
ですから,診察日にはそれぞれの親フグの体重を必ず測定して,
餌をしっかりと食べているかを確認します。
明日,測定した時の体重が,栽培漁業センターへ到着した時の体重よりも減っていないことが,
卵を得るための親フグ候補として最低限の条件となります。

そしてもう一つ,大切な診察項目があります。
それは,親フグのお腹の中の卵の大きさ(直径)を計ることです。
卵の大きさを計ることで,産卵が直前に迫っているのか,
もしくは,まだしばらく時間がかかるのかを判定することができます。
トラフグの場合,産卵が直前に迫ると,お腹の中の卵の直径が0.9〜1ミリメートルにまで大きくなります。
そこで,南伊豆栽培漁業センターでは,卵の直径が0.9ミリ以上となった親フグを,
4月上旬に卵を得る候補として選抜します。
なお,明日の測定で卵の直径が0.9ミリに達していない親フグについては,
4月中旬以降にがんばって卵を産んでもらうことになります。

今日は,水槽の中の親フグたちを眺めながら,明日の診察に備えて,
水槽の中を入念に掃除したり,診察器具の準備や作業用水槽のセッティングを進めます。
どうか,明日の診察では,体重の増えている親フグがたくさん出てきますように!!


水槽の中を丹念に掃除して,明日の診察に備えます。







親フグ同士が噛み合って傷つかないように,
親フグと同じ数の水槽を準備します。
親フグたちは個室に入って,診察の時を待つことになります。
 2009年3月5日 みんな元気です! 2009.3.17掲載

南伊豆栽培漁業センターの一員となった親フグたちの生活の場は,
小学校の水泳プールのようなとても大きな水槽です。
長旅の疲れもすっかり取れた様子で,水槽の中を悠々と泳ぎだしました。
例年ですと,漁船やトラックによる輸送の影響,釣られたことやガス抜き処理の影響で,
栽培漁業センターへ到着した直後に2〜3尾の親フグは死んでしまいます。
しかし,今シーズンはみんな元気です!
漁業者と私たちの親フグ入手の連携技術は,完成の域に達してきたのではないでしょうか。

栽培漁業センターでの暮らしに慣れてきた親フグたち,
目下の楽しみは何といってもお食事タイムでしょう。
南伊豆栽培漁業センターで働くパートさんが,我が子のようにやさしく餌を与えてくれます。
お食事のメニューはイカ,オキアミ,アサリなどですが,特にイカが大好物のようです。

ご飯は,まだかしら? おなかペコペコよ〜


4月の産卵に備えて十分に栄養をつけてもらわないといけませんので,
食事にはとても気をつかいます。
餌として与えるイカは,船上で急速冷凍された質の良いものを使います(いわゆる船凍イカ)。
毎朝3〜4杯を大型冷凍庫から取り出して室温で解凍して与えます。
しかし,解凍しすぎると,親フグたちのお口に合うサイズとなるように,
上手に切ることができないばかりでなく,腸(はらわた)がトロトロと溶け出してしまい,
せっかくの美味しい腸を餌として与えることができなくなってしまいます。
逆に,解凍が不十分だと,カチカチ&冷え冷え〜のイカを親フグたちに与えてしまうことになります。
食欲おう盛な親フグたちは,冷たいことなどお構いなしに,お腹いっぱい食べてしまいます。
ですので,親フグたちがお腹をこわさないように,
わたしたちが解凍具合を加減して与えなければなりません。







本日のお食事メニューはイカとオキアミです。
美味しそうで私が食べたいくらい!



釣りエサでおなじみのオキアミも,フグの好物です。
これも質の良いものを仕入れて親フグたちに与えます。
その日の必要分を,毎朝,大型冷凍庫から取り出して解凍して与えます。
オキアミも栄養が流れ出てしまったり,姿形がくずれないように注意して解凍します。
やはり,姿形がキレイな方が,親フグたちの食欲をそそるような気がします。
こうして美味しいエサを十分に食べて体力をつけた親フグたちに対して,
いよいよ産卵に向けた検査や測定などがはじまります。

みんな,いっぱい食べてちょうだいね〜
 2009年2月22日 役者がそろいました! 2009.3.13掲載

南伊豆栽培漁業センターと浜松を往復すること計6回,
ようやく今シーズンのトラフグ種苗生産に必要な親フグをそろえることができました。
今年2月のトラフグ漁は,水揚量が例年の半分以下という大不漁!
それにもかかわらず合計20尾以上の立派な親フグを運び入れることができました。
これもひとえに,不漁にもかかわらず
漁期の最後までがんばってくれた漁業者のみなさんのおかげです。感謝! 感謝!

さ〜て,立派な親フグを漁業者から引き受けたので,これからは栽培漁業センターの出番です。
きっと,親フグに負けない立派な稚魚をたくさん作って海に帰しますから,待っていてくださいね〜。






今シーズンの親フグ受け入れも,今日がラストラン。
最後になって,ようやく白銀の富士山が
姿を見せてくれました。








お疲れさまでした〜。
今シーズンもお世話になりました。










最終日は5尾の親フグを受け入れました。










トラックもお疲れさまでした。
トラブルもなく元気に走ってくれました。
 2009年2月6日 その6 恐怖! 新入り歓迎の荒療治 2009.3.09掲載

栽培漁業センターへ到着した親フグ達に対して,
すぐに体長や体重の測定,個体識別用のICチップを筋肉内に埋め込むなどの処置を施していきます。
そして,最後に待ち受けるのが,恐怖の針治療です!

海底から釣り上げられたトラフグは,水圧の急激な変化によりウキブクロが大きく膨れてしまいます。
このままでは,いつまでも水面に浮いたままで,思うように泳ぐことさえできません。
親フグたちが産卵するのは4月になってから。
まだまだエサをたくさん食べて体力をつけてもらわなければなりません。
ですので,ウキブクロに溜まったガスを,どうにかして抜いてあげなければなりません。

南伊豆栽培漁業センターでは,親フグのわき腹からウキブクロを狙って
中空の針を突き刺して,溜まったガスを体外へ排出する処置を施しています(さいばいコラムNo.36参照)。
ただし,ウキブクロの周辺には,大切な臓器が集中しているので,
針の打ち所を間違えると,親フグたちに致命的な傷を与えてしまうことになります。

職員総出で親フグたちの受け入れ作業を進めます。


漁業者のみなさんが大海原で釣り上げて港まで持ち帰り,
わたしたちがトラックで南伊豆まで運んできた大切な親フグたちですが,
ガス抜きの処置を誤ると,いままでの苦労は水の泡です。
できることならば,やりたくはない処置ですが,
ここを乗り切らなければ,たくさんの稚魚を育てて海へ帰すことなどできません。
フーっ,と大きく深呼吸をして,高ぶった気持ちを落ち着かせます。
そして,細心の注意を払いながら1尾ずつガス抜きの処置を施していきます。
親フグを両手で押さえて水中へ沈めます。
そして,人さし指の腹で親フグのわき腹をトントンと軽く押しながら,
浮き上がってこようとするウキブクロの感触を探っていきます。

しかし,ここで問題が・・・
栽培漁業センターでは,お腹の中にたくさんの卵を抱えている立派な親フグが欲しいのですが,
成熟が進んだ立派な親フグほど,お腹の中の卵がジャマをして
ウキブクロの位置を探し当てることが難しくなります。
さらに,針を刺しても安全な場所も限られてきます。
「河豚は食いたし 命は惜しし」ならず 「ガスは抜きたし たまごは欲しし」です。
なんともウラハラなことです。
本日受け取った親フグ達も例に漏れず,みなさん立派なお腹をしておられます。 ト・ホ・ホ。。。

お腹が膨らんで水面にポッカリと浮いてしまった親フグ


さて,怖がってばかりもいられません。
慎重かつ大胆に 「ブスッ」 といかなければなりません, 「ブスッ」 と(汗)。
人さし指の腹に神経を集中させて,針を打つ場所を探っていきます。
すると,トラフグの分厚い皮がペコペコと小さくへこむ場所を発見!
ここだ,と狙いをさだめて,針を 「ブスッ」 と打ち込みます。
すると,中空の針の末端からポコポコポコッとガスが勢い良く出て来ました。
やった! 当たった〜!
まわりの職員からも,「ヨッシャー」と声が出ます。
10秒間ほどポコポコとガスが出続けた後,処置した親フグはゆっくりと水槽の底へ沈んでいきました。

当たった! 中空針の末端からポコポコとガスが出て来ます。








ガスが抜けて水槽底へ沈んだ親フグ。
死んでしまったわけではありません。
まだ麻酔から覚めていないだけです。


こうなればもう大丈夫です。
晴れて親フグを広い水槽へ収容することができます。
人間の赤ちゃんを抱っこするように,両手で親フグを大切にかかえて広い水槽まで運んでいきます。
そして,静かに水中へ親フグを送り込みます。
「おつかれさま〜」  これで一安心です。

この勢いで,残りの2尾についても慎重かつ大胆に「ブスッ」,「ブスッ」といってしまいましょう!
1尾目と同じ要領で作業を繰り返します。
2尾目もひと刺しでガスを抜くことができました。
そして3尾目,3尾目は6キロオーバーの超大物,この親フグは絶対に傷つけることはできません。
入念にわき腹を探っていき,ここだ,と判断した場所へ針を打ち込みます。
ボコボコボコッとすごい勢いでガスが出て来ます。
やった! 魚体が大きいだけに,溜まっていたガスも相当な量でした。
ガスが次第に抜けて親フグが沈みはじめるまでの時間も,他の親フグの倍ほどかかりました。
ガス抜きの処置を施し,3尾目の親フグを広い水槽へ収容して本日の作業はすべて終了です。

これで漁業者から受け取った3尾の親フグ達は,
無事に南伊豆栽培漁業センターの一員となることができました。
親フグたちもお疲れでしょうが,担当職員もヘトヘトです。
さぁ,はやく家に帰って熱いお風呂に入ろ〜っと。

こうしてトラフグ担当職員と親フグたちの長〜い1日は,終わっていったのでした。
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