独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばい日記
ホシガレイ編 2008年5月〜の日記





 ついに最終回…
 これまで,どうもありがとう

執筆者プロフィール

 2008年6月27日 今回が最終回

この前,稚魚を放流した宮古湾の奥には,藻場や干潟が広がっています。
ここには稚魚の餌となる生物がたくさんいますし,
稚魚を食べてしまうような大きな魚もあまりいません。
人間の世界の幼稚園みたいな場所です。
いきなり危険な大人社会に放り出すのではなく,
幼稚園のような,子どもにやさしい生育場を選んで放流したわけです。
放流した稚魚たちは,だんだんと成長して生育場を出て行きます。
そして1年後の今頃には,早いもので大きさ30cmに成長して,
市場に水揚げされるようになります(漁獲のメインは2年後です)。

栽培漁業センターの仕事は,稚魚を育てて放流するだけではありません。
放流した稚魚がちゃんと生き残って,市場に水揚げされるかどうか,
毎朝,魚市場に調査に行っています。
すると今朝とってもうれしいことがありました。
去年放流したホシガレイが初めて水揚げされたんです。
大きさは28cm,ちゃんとパンチング標識の傷跡もあります。
これからどんどん水揚げされると思いますが,初めの1尾めは格別です。
昨年の放流魚の質が悪かったか?,放流方法はどうだった?と
ドキドキしながらこの日を待っていたんです。
この日記で報告してきた今年のホシガレイたちもちゃんと戻ってきてくれるでしょうか?
それは来年のお楽しみです。戻ってきたらコラムかなんかで報告しますね。







いつもと同じ市場調査の風景…

でも,ホシガレイ担当者の
テンションは上がっていた。
去年放流したホシガレイだ!!




1月初めにホシガレイの生産期がスタートして6ヵ月。
生後2ヵ月で寝返りすら打たなかったうちの娘は,もうすぐ8ヵ月。
つかまり立ち→伝い歩きで,そこら中動き回るので,目が離せなくて大変です。
でも幼稚園はまだまだ先,家で大切に育てます。

日記は今回が最終回ですが…
明日も早朝からハイテンションの娘を嫁さんに任せ,市場に向かいます。
放流が終わっても,ホシガレイ担当者の仕事は終わらないのです。

これまで読んでくださった皆さん,本当にありがとうございました。
宮古栽培漁業センターの清水です
かれいのことならまかせろ!
最近パパになりました。

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 2008年6月12日 放流は慎重に・・・(飼育143日目)

5ヵ月間の汗と涙の結晶のホシガレイ稚魚(65mm,2万4千尾),やっと今日放流です。
大きなトラックに積んだ輸送用タンクにホシガレイを移し,
宮古湾奥部の放流場所に運び,バケツリレーで放流する段取りです。

昨年は,余裕のないスケジュールにしたこと,
天気が良くて輸送用タンクの水温が上昇してしまったことから,
何もかも焦ってしまい、急いで急いで放流したために,
放流した後,弱ったホシガレイがプカプカと浮いてしまいました。
それを目ざとく見つけたカモメがたくさん(推定100羽)集まって,
多くのホシガレイがカモメの餌食になるとともに,
カモメを追い払おうと石を投げているホシガレイ担当者が,
夕方のニュースで流れるという失態をさらしました。

今年は慎重にことを運ばねば・・・。
11時にバケツリレーで輸送用タンクにホシガレイを移す”
普段は11時からバケツリレーというと,11時は集合時間ではなく,
11時になったら集まっていなくても,バケツリレーをスタートさせたい短気な私。
あれ,今日はずいぶん集まりがいいな,15分前なのに・・・
でもここで焦らず,予定の時間までがまん,がまん。

“14時30分に放流開始”
現場に着いてから焦らないように,1時間前に現場到着。
あれ?バケツリレーの支援をお願いしている宮古市や岩手県の職員の皆さんがもう来てる・・・。
「いつも到着したころには,放流が始まっているから」だそうです。
いつもの短気が災いしているな・・・でも焦らない,焦らない。
輸送用タンクの海水をゆっくりと放流場所の海水と交換して,
水温,塩分,酸素の量をあわせます。
よーし,できることは全てした,カモメの姿も見えない,放流開始だ。
おかげさまで,放流したホシガレイの稚魚はさっと海底に潜っていきました。
プカプカと浮いているような稚魚もなく,とてもいい状態で放流できました。









バケツリレーで放流しました。
皆さんご協力ありがとうございました。




なんだか,たくさん生き残って市場がホシガレイだらけになりそう。
今夜はコーラで乾杯ですね(つづく)。
 2008年6月10日 残酷ですがとっても重要な作業です(飼育141日目)

今年放流するホシガレイは生き残ってくれるでしょうか?
海に放流すると,天然で生まれ育った魚(天然魚)や他の場所で放流された放流魚,
また,昨年までに放流した放流魚などと混ざってしまい,
今年放流したホシガレイのその後を調査することができません。
そこで,今年の放流魚をちゃんと区別できるように目印(標識)を付けます。
ホシガレイに付ける標識は“パンチング(穴あけ)”。
どんな標識かというと,穴あけパンチを使ってホシガレイの背中にを開けます。
穴はすぐにふさがりますが,傷跡が残ります。
この傷跡を目印として,今年の放流魚を見分けるんです。

放流する2万5千尾のホシガレイ全てに標識を付けるので,
パンチング標識作業は人海戦術で行います。宮古栽培漁業センターの職員だけでなく,
宮古漁協,宮古市,岩手県の職員の皆さんに助っ人にきていただき,総勢25名での作業です。
丸一日の作業予定でしたが,たった半日で終わりました。
皆さん,どうもありがとうございました。









「残酷だなー」と感じるのは初めだけ。
黙々とホシガレイに穴を開けています。
 2008年6月1日 ここまで頑張ってきたのは・・・(飼育132日目)

今日は小難しい話を少々。
大きな稚魚を放流すれば,生き残る率も高いのですが,
大きくなるまで育てるには,時間もお金もかかります。
栽培漁業は育てた稚魚を放流して海の資源を増やし,
その放流された魚が漁獲され,市場に水揚げされることで,
経済的な効果を得ることが大きな目的ですから,
水揚げされた放流魚の漁獲金額(利益)÷放流にかかった経費(費用)
が最も高くなるような放流時の魚の大きさを把握することはとても重要です。

トピックスで少し紹介しましたが,ホシガレイは大きさ80mmで放流すれば,
経済的な効果があることがわかってきています。
しかし,水温が低い東北で,大きくなるまで育てるのは大変なんです。
そこで,今年は例年通りの大きさ80mmと少し小さな60mmのホシガレイを放流して,
比べてみることにしました。
60mmで放流して,80mmで放流したときと同じように生き残れば(少し悪くても),
飼育にかかる経費がだいぶ節約できるし,ホシガレイ担当者の心労も短縮できます。
この,さいばい日記で紹介してきた稚魚たちは,60mmの大きさで放流する予定です。






放流を待つ稚魚たち(大きさ63mm)
放流は来週です。

この他に80mm放流群として3万尾飼育しています。
この子たちの放流はまだまだ先です・・・。
 2008年5月30日 なかなか大きくならないな(飼育130日目)

1週間前からほとんど成長していないなー(大きさ63mm)。
屋外の大きな水槽に引越しすると,成長が遅くなることがあります。
引っ越し前は水温を14℃に加温していたのにくらべ,
屋外水槽では加温しないので11℃と低いことや,
前の水槽では底に沈んだエサも食べていたのに,小割り網の中で飼っていると
エサは沈んで網の底から出てしまうので,食べる量が減ったことなど,
いろいろ理由はあります。

あと,大きく変わる点が一つ,ホシガレイが急に用心深くなります。
前の水槽では,エサを撒いたらうじゃうじゃと集まってきたのに(4月14日の写真),
引越し後は人影があると網の底に張り付いて,じーっとしてエサを食べません。
だから,エサを撒いても網の底からどんどん沈んでしまいます。
明るい屋外に出たことで,人影がよく見えるようになったのかな?
かわいさは少し減ったけど,人影も恐れずにプカプカ浮いてくるような稚魚は,
放流しても他の魚に食べられてしまうので,生き残りにくいだろうと,都合よく考えています。







自動給餌機から撒かれるエサに
集まるホシガレイ稚魚

人影があると逃げてしまうので
隠し撮りです

もうすぐ7ヵ月になるうちの娘は離乳食のトレーニング中です。
しょっちゅう体重を量って一喜一憂しています。
 2008年5月23日 大きな水槽へ引越し(飼育123日目)

ホシガレイはだいぶ大きくなり(大きさ62mm),飼育水槽が狭くなってきました。
水槽の中はホシガレイのスシ詰め状態で,餌も山ほど撒いているので,
酸素がいきわたるように,水が悪くならないように,たくさん注水しています。
水槽の水位は,注水量とサイホンの原理を利用した排水の
微妙なバランスを保つことで維持されているので,
ちょっとしたことで,その微妙なバランスが崩れると,
すぐに水槽の水があふれてしまいます(オーバーフローといいます)。
だから家に帰っても,なんとなく気持ちが休まらないんです。
かわいい稚魚が水槽からあふれ出ている夢を見て,夜中に確かめにきたことも・・・

しかし,こんな不安も今日で終わりです。
やっと水温が10℃を超えたので,屋外の広い水槽に引越ししたんです。
これからは水槽内に小割り網を張って,その中に稚魚を入れて飼育します。
もしオーバーフローしても小割り網に入っているので,
ホシガレイが外にあふれる心配はないのです。
さらに,食べ残しの餌や糞は,網の底から抜けてくれるので,
毎日大変だった底掃除もやらなくてよくなり,作業がだいぶ楽になります。










バケツリレーで引越ししました
青い網が小割り網です

これで枕を高くして寝ることができます。
 2008年5月12日 便りがないのは元気な証拠(飼育112日目)

ご無沙汰しております。筆不精なもんで・・・

親不孝者のホシガレイ担当者は,実家ともあまり連絡を取っていません。
しかし両親は消息を確かめるため,この日記を毎日チェックしてくれていたようです。
最近あまりにも更新されないので,向こうから催促がありました。
心配してくれてるのかなーと思ったら,
「おまえじゃない,○○ちゃん(孫のこと)は元気か」 だって。

娘はとっても元気で,日に日に成長しているのがわかります。
でもホシガレイは,あんまり変化がないんですよ。
だんだんと大きくなってはいますが(大きさ56mm),
あまりにも順調すぎて(変化がなさすぎて)日記に書くことがありませんでした。







左は飼育水槽を上から見たところ

よくわからないかもしれませんが
こんな大きさ(右の写真)のホシガレイが
スシ詰め状態になってます

宮古の水温は現在8℃。
低い水温だとなかなか大きくならないので,加温して飼育しています。
もう少し水温が高くなったら,広い水槽に移してあげるからね。

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