独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばい日記
ホシガレイ編 2008年4月の日記

いろいろつらいこともあったりして…
2008年4月
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 2008年4月23日 選別作業はつらい(飼育93日目)

今日は正常な変態ができなかった稚魚を選別して処分しました。
“変態異常”の魚とはいえ,ここまで育ててきたかわいい子供達です。
とってもつらいですが,やらなくてはなりません。お仕事ですから・・・

その理由としては,“変態異常”の魚は放流しても生き残る可能性が低いこと。
奇妙な姿で商品価値が非常に低く,こういった魚が市場に揚がることで
ホシガレイ全体の価値が下がってしまうこと。などなど。
そんな“変態異常”の魚にエサをあげて,放流サイズまで大きくするのはムダですし,
大きくなればなるほど,処分するのはつらいので,早めに選別処分を行います。










選別作業中。
金魚すくいではありません。
楽しそうじゃないでしょ・・・

どうしてもホシガレイ担当者の選別は甘めになってしまいます。
しかし厳しい皆さんの協力で1万尾の“変態異常”の魚を処分しました。

「来年こそ“変態異常”のない魚を育てるぞ」と今年も誓いました。
 2008年4月14日 再スタート 中間育成です(飼育84日目)

種苗生産で卵〜稚魚の最も弱い時期を乗り越えた稚魚たち(取り上げ時の大きさ33mm)
でも,すぐに放流するわけではありません。
小さな稚魚を海に放流しても大きな魚に食べられるなど,生き残りが悪いからです。
そのため放流に適した大きさに育つまで,もう少し飼育します(中間育成といいます)。
種苗生産では,稚魚の生き残りで成績が決まりましたが,
取り上げ後の稚魚はほとんど死ぬことはありませんので,
中間育成では,どれだけ効率よく成長させるかが勝負となります。








配合飼料に集まる
ホシガレイ稚魚(84日目) 大きさ43mm

もう赤ちゃんではなく,
幼稚園に上がる前の幼児といったところかな

宮古ではまだ桜は咲いていませんが,だんだん暖かくなってきています。眠い。
ホシガレイ担当者は取り上げ後,少々気が緩んでいるようです。
兜の緒を締めなおさないと・・・生き物を飼っている以上,気は抜けないんです。
 2008年4月3日 成績発表 その2(飼育73日目)

ヒラメやカレイ類の種苗生産の成績は,生残率だけで決まるわけではないんです。
たくさん稚魚が生き残っても,“変態異常”が多くては意味がありません。
“変態異常”っていうのは,正常な変態ができなかった魚のことを言い,3月25日の日記にも書いた,
両側とも裏側に変態しちゃったやつ(白化といいます)や
両側とも表側に変態しちゃったやつ(両面有色といいます)などのことです。

特に白化は目立つので,放流しても他の魚に食べられやすく,生き残る可能性は低いと考えられます。
また生き残って市場に出回ったとしても,奇妙な姿のため商品価値は非常に低いです。
そのため,こういった変態異常の稚魚は,放流する前に選別して処分してしまいます。

さあ,今年の正常に変態した魚の割合はどれくらいでしょうか?





取り上げた稚魚の一部を
サンプルとして抜き出し,
正常に変態した稚魚の割合
(正常率といいます)を推定します。

うーむ,白いのが多いような・・・

正常率は75%でした。またまた,まあまあの結果です(日記のネタにならないなー)。
取り上げ尾数が4万尾なので,3万尾が正常魚ということになります。
目標としていた放流尾数が2万尾なので,余裕でクリアーできました。

これで,ぼさぼさに伸びた髪の毛も切ることができます。
もし生産途中でうまくいかなかったら,坊主にしようとずっと伸ばしていたんです。
日記のネタにね。
 2008年4月1日 成績発表(飼育71日目)

さー,今日は種苗生産の成績が決まる“取り上げ”と“計数”をします。

魚介類はたくさんの卵を産みますが,
自然海では稚魚になるまでに,ほとんどが死んでしまいます。
その最も弱い時期を,人間が水槽内で大切に育てるのが種苗生産です。

種苗生産がうまくいったかどうかは,生き残った稚魚の尾数と
生残率(生き残った稚魚の尾数÷初めに水槽に入れたふ化仔魚の尾数×100)で決まります。
しかし水槽の中にうじゃうじゃいる稚魚を数えることは不可能なので,
いったん水槽から取り上げて(取り上げといいます),
全体の重さを量って,生き残った稚魚の尾数を推定します(計数といいます)。
この作業は,稚魚を少々手荒に扱うことになるので,
そんなことで弱らない大きさまで育ててから行います。
生まれたばかりの最も弱い時期を乗り越え,配合飼料をちゃんと食べ,
取り上げや計数にも耐えられる大きさまで育った時点で,種苗生産は終了となります。

以前にトピックスにも書きましたが,ホシガレイの種苗生産はなかなかうまくいかず,
生残率は20%前後と低迷していましたが,本年度の結果はどうでしょうか?



左:まず飼育していた水槽から
  小さな水槽に取り上げて集めます。

右上:水を良く切って稚魚の重さを量ります。
  1kg当りの尾数を計数し,取り上げた
  稚魚全体の重さで引き伸ばして,
  尾数を推定します。

右下:そして,新しい水槽に戻します。

取り上げ尾数は4万尾(大きさ33mm)でした。
11万尾のふ化仔魚を水槽に入れてスタートしたので生残率は36%,
うーむ,途中で調子を崩したわりには,まあまあの成績か・・・
6万尾はいると豪語していたんですが・・・

お酒の飲めないホシガレイ担当者と授乳中の嫁さん(本当はザルのように飲める)は,
ささやかにコーラで打上げをしました。

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