独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.29 初体験! フグの標識打っちゃいました
2008.07.18
本部業務推進部栽培管理課 清水 智仁
 栽培漁業では、人工的に生産して海に放流した稚魚が元気に大きく育ったか、どれだけ生き残り、漁業で獲られたかを検証することが重要です。
 放流後の成長や生き残りを調査するためには、放流魚であることの目印(標識)が必要です。それには、プラスチック製のタグ等を種苗に装着する方法や、蛍光物質で魚の耳石を染色する方法等があり、調査目的に応じて使い分けます。
 東海三県(静岡、愛知、三重)と南伊豆栽培漁業センターでは、平成12年度からイラストマー標識(着色シリコン:赤、黄、緑、橙色)を用いて標識放流調査を行っています。
 6月24〜26日、水研センター職員、放流を行っている東海三県の各県から放流調査に関わる担当者が集まり、南伊豆栽培漁業センターにおいてイラストマー標識の装着作業が行われました。水研センター本部からも助っ人として数名の職員が南伊豆へ赴きました。
 標識装着作業は全長約7cmほどのトラフグ稚魚の胸びれの付け根に、注射器のような器械を使って蛍光色のシリコンを注入するという、生き物相手の非常に神経を使う作業です。怒ってまん丸に膨らむトラフグに、初めはびっくりしていた面々。日頃、横浜のビルの中でパソコンに向かって仕事をしている職員たちから見た「栽培漁業の現場」はどのようなものだったでしょうか。


写真1 標識(シリコン)を胸びれの付け根へ注入

写真2 噛まれないように素早い作業を・・・
実写!装着作業はコチラ
(動画2.5MB 約30秒)
職員A(女性)
「これって本物ですか?」
初めて実物を見たトラフグの稚魚は、まるで作り物のようにまんまるに膨らんでいた。
レクチャーしてくれた担当職員が説明用に模型を用意したのかと思ったくらい。
「膨らんでいた方が堅くなって針が刺さりやすいんです」
なるほど!頭をナデナデしてやると、ぷう〜っと膨らむ。か、カワイイ!
膨らむのをいやがって、キーキー鳴いて威嚇されたり、噛みつかれたり・・ちびっ子のくせに“いっちょ前!”
なかなかやるね、君たち!
魚の扱いにもすっかり慣れてしまった私。この技能はどこかで役に立つだろうか?
デスクワークですっかり鈍った身体を使って、多少の筋肉痛にはなったけれど、非常に有意義な体験でした。


職員B(男性)
 一日の大半を事務所で過ごしている自分にとって、標識作業は生き物に触れるチャンスでもあり、貴重な体験になると思い、参加を希望しました。
 担当職員の方より魚の取扱いの説明を受け、手順は頭の中で理解したつもりでしたが、体は裏腹に、7cm位の稚魚1尾を処理するのに大苦戦しました。まるで失敗を続けていた新人の頃を思い出すようでした・・・でも諦めずに、少しずつ根気よく処理していたら、いつの間にかコツをつかみ、2、3日目には慣れた手つきで魚を処理することができました。
 今回、トラフグ調査に携わっている職員の方々の苦労を目の当たりにしたことが大きな収穫であったように思います。


職員C(女性)
 初めての標識作業は戸惑うことばかりでした。あばれるトラフグたちに驚いたり、トラフグたちもなかなかうまく膨らんでくれなかったり、噛みついてきたりして思うように作業を進ませてくれません。(泣)
 でも、日常では生き物とこんなに近くで接する機会がないので、とても貴重な体験をさせていただきました。少しでも多くのトラフグたちが帰ってきますように。


職員D(女性)
 イラストマーを胸びれの三日月部分に、正確かつスピーディーに注入し続けるのは意外と難しかったが、小指ほどの大きさのトラフグがぷっくりとふくれた姿は、いとおしいくらいかわいいものだった。標識のついたトラフグたちよ、元気に生き延びて必ず戻っておいで!!!


 大勢の方々のご協力と奮闘の末、標識装着された27,900尾のトラフグは7月1日に三重県伊勢市の有滝漁港で放流されました。大海原で元気に育って、またいつか出会えたらいいね。


写真3 標識作業も終わって「ハイ チーズ!」 トラフグ標識隊のみなさんご苦労様でした。
←前のコラムへ | コラム一覧へ | 次のコラムへ→    
→トップページへ戻る