独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.28 いも〜れ!きょら海 奄美へ 〜大黒柱からオヤジィへの転落〜
2008.06.27
西海区水産研究所石垣支所栽培技術研究室 武部 孝行
とある夫婦の、ある日の会話―

(仕事を終え、帰宅する一家の大黒柱)
大黒柱 「ただいま〜!きょうも疲れたや〜。」
   嫁 「(出迎えるも、顔をしかめて沈黙)・・・。」
大黒柱 「???」
   嫁 「きょう、死んだの?」
大黒柱 「おぉ、死んどった!死んどった!白くなって、浮いとったよ。」
   嫁 「わぁ〜、クッサ〜!近寄らんといて!」
大黒柱 「えぇ?! ちゃんとシャワー浴びたし、ボディソープも使ったぞっ!」
   嫁 「でも、クサイものは、クサイのっ!きょう、お父さんの洗濯物はベランダに置いておいてね!」

(ここから、立場が逆転し、嫁から山の神に変貌、大黒柱は冴えない単なるオヤジィに転落)
オヤジィ 「・・・(渋々)。」
山の神 「あぁ、それときょうのお風呂は、お父さんは最後ね!お風呂のお湯まで臭くなるから!」
オヤジィ 「はい・・・_| ̄|○(悲)」

この夫婦に何が起こったのか?
それは、ご覧の通り“ニューネッシー”※を彷彿させる腐敗のすすんだクロマグロの死体を処理した日、決まって起きる夫婦逆転劇。
写真1 クレーンで引き上げられた
    死亡クロマグロ
  写真2、3 ここまで腐敗が進んだものの解体作業をすると、
   もう、その強烈な臭いのため食事ができないほど!そして、家庭崩壊の危機が・・・
クロマグロの解体については、前回のコラムでお話しした通り、
ノコギリなどを駆使して細断するわけですが、
ご覧の通りの状態の物も、貴重なデータをとるため、同様に処理するわけです・・・。
作業前は、かなり辛いのですが、鼻が慣れてくるというかバカになってきて、
あまり気にならず、作業も大胆になってきます。
当然、マグロの肉片や体液が、体のそこかしこに付着しますので、
もちろん作業終了後はシャワーを浴びます。
しかし、臭いは取り切れていません。
その結果、前述のような会話となるわけです。

今、我が家にいる2歳の男の子は遊び相手が帰ってきたと思い、
衛星のように父親の周りをグルグルと回っていますが、
これが物心付く頃には母親と同じことを言うのでしょうか・・・。

そして、今年春に産まれたのは女の子。
あぁ〜恐ろしい光景が目に浮かぶ・・・。
大きくなった娘に
「うちのお父さん、加齢臭じゃなくて、腐敗臭がするの〜!もぅ、信じられない!最悪〜!」
とか外で言われるんだろうな、きっと・・・_| ̄|○

おぉ〜神よ、この迷える四十路の子羊を救い給え!


ニューネッシーとは、1977年4月25日、日本のトロール船「瑞洋丸」がニュージーランド沖のクライスト・チャーチ諸島付近で引き揚げた謎の腐乱死体のこと。引き揚げた船が小さかったため、巨大な死体を積めないことと激しい腐敗臭を理由に、引き揚げられて1時間後に死体は再び海中に投棄されました・・・
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