独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.15  「トロ」増殖中
2007.11.09
本部業務推進部栽培管理課長 岡 雅一
この題だけ見ますと、きっと読者の方々はクロマグロの養殖の話題かと思われていると思います。
見事に期待を裏切りますが、実は、「トロ」という言葉がついた寿司ネタや食材が増えているという話題です。

言わずとしれた日本人のマグロ好き、特にトロが大好きな方達が多いですよね。
しかし、20年ほど前はトロといえば大トロ、中トロのことで
このぐらいしかトロがつくネタは耳にしませんでした。
ネタが回っている庶民的な寿司屋に行きますと
 (というより財布の中身が回らないので
 ネタが回っていない寿司屋にはここ10年ぐらい行ったことがなく
 他の寿司屋事情はわからないのですが…)
ちかごろの回転寿司のメニューにはいろんな「トロ」がついたネタを目にします。
ビントロ*1、カマトロ*2、トロあぶり*3、ネギトロ*4
このへんまではマグロの範囲に収まっていますが
ブリトロ*5、トロカンパチ、トロサーモン、トロニシン*6などなど、
マグロをはみ出したもの、
さらには、魚を飛び越えて
豚トロなんてのもあります。

こんなに「トロ」が増えてきた理由は
この言葉には沢山の人に好まれる脂の乗った特別な味わいや
大きなマグロからほんの一部しかとれない「特別」あるいは、「高級」というイメージを連想させるので
マグロのトロと同じような食感のネタや食材に付けることで、
商品の差別化、販売の促進といった効果をねらってのことでしょう。

このように「トロ」が増殖していくと、日常用語にまで守備範囲を拡大していく勢いで、
もしかしたら将来は、特別な仕事、いい味の出た仕事のことを
「トロい仕事」というようになるかも知れません。

*1:マグロ属の一種、ビンナガの腹身部分のネタ
*2:マグロの胸鰭の付け根から腹鰭あたりの部分
*3:大トロの表面を少し火であぶったネタ
*4:マグロのトロの肉、もしくは赤身と食用油とネギを合わせてミンチ状にしたネタ。
  軍艦巻きや細巻きになる
*5:ブリの腹身部分のネタ、カンパチ、サーモンも同じ
*6:ニシンの中でも脂の乗った個体

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