独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
さいばいコラム
No.14  ウミガメは空を飛んでやって来る
2007.10.12
本部業務推進部栽培管理課 清水 智仁
“ウミガメは海で生活するが、爬虫類なので肺呼吸する。“
当然、誰もが知っている事実なのに、小学校でも習っている知識なのに
魚やエビ・カニのような鰓呼吸をする生物たちの飼育が中心の栽培漁業センターでは、ついつい忘れがちなことでもあります。
栽培漁業センターでは、親魚や稚魚を輸送する場合
トラックや船に積んだ水槽、もしくは、船の活け間を使う輸送が一般的なため
ウミガメ輸送を命令されたら、担当者は活魚輸送車や活魚運搬船を頼んでしまうかもしれません。

ウミガメを長距離輸送する場合、輸送方法は魚とは全く違い
ウミガメは肺呼吸なので、海水さえも必要ありません。
水気といったら、濡れタオル1枚ぐらい。
これまでにウミガメの輸送で使った容器はいくつかありますが、
どれもみな空気を取り入れるために穴が開けてあり、水槽よりは檻に近いものです。
仔ガメ(甲羅の長さが10cm程度)の場合は、発泡スチロールの箱(いわゆるトロ箱)に穴を開けたものを使っています。

大きなウミガメを輸送する場合は、体の大きさにあわせた木箱を作ります。
輸送中に糞をしないようにするため、2〜3日前から餌をあげないようにします。
水槽から取り上げる時、ウミガメは当然、空腹で気が立っていますので
手などをかまれないよう注意して作業を進めます。
水槽から取り上げたら、暴れないように保定します。
また、箱の中でころげまわるのを防ぐために空いたスペースに
発泡スチロールやスポンジなどを詰めこみます。
そして、乾燥防止のための濡れタオルを上から掛けます。
(ここで水が箱の中にあると、飛行機には乗せてもらえないため
上から水をかけるなどはしません)
ここまで終えて、いざトラックへ積みこむとなると、
フォークリフトなどで持ちあげなければ上がらないくらいの重さになっています。


写真1 タイマイ
さて、ようやく輸送箱も荷台に収まり空港へ向けて出発です。
空港では貨物係のカウンターでチェックインします。
やがて、トラクターにひかれた荷台に載せられ、ペット用に客室と同じ空調が行われている、バルクルームという貨物室の一角へ搭乗します。

このようにして空港を出発し、各地で行われる水産関係のイベントにウミガメが展示されています。
イベントで展示されているウミガメたちも、このような苦労に耐えてきたものかもしれません。
そんなウミガメたちを見たら「大変だったね」と声をかけてやってください。

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