独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
栽培漁業とは
栽培漁業の沿革・栽培漁業の仕組み・栽培漁業の主な対象種 (2007.4更新)
栽培漁業の仕組み
栽培漁業とは、水産動物の減耗が最も激しい卵から幼稚仔の時期を人間の管理下において種苗を生産し、これを天然の水域へ放流した上で適切な管理を行い、対象とする水産動物の資源の持続的な利用を図ろうとするものです。また、対象種の水産資源への加入量を積極的に増大させるだけでなく、放流水域における資源管理を通じ、対象種以外の水産動物をも包括した資源管理の展開を促進し、漁業の生産基盤である水産資源の安定化と増大に資することを目的としています。

この達成には、まず放流する種苗を大量に確保するための技術開発を必要とします。種苗を量産する技術の開発では、その過程でまず親の養成と採卵から始まり、種苗生産、餌料培養、疾病防除、及び飼育装置の開発等の工程があり、それぞれの工程において基礎的及び実証的な技術開発を行います。さらに、これらの工程別技術開発の総合的な技術体系の蓄積を基に、目指す放流効果の実証試験を実施します。

例えば、種苗生産から放流までの技術の開発には、以下のような工程があります。


 種苗生産

種苗生産の工程は、当該海域で集められた親を養成して産卵を促し、良質な卵や幼生を大量に得ることから始まります。受精卵はふ化用の水槽で集中的に管理されます。次にふ化した仔魚や幼生を大型水槽に収容して種苗の生産が行われます。種苗生産の初期には動物プランクトン等の小型の生物餌料を与えますが、近年、人工配合飼料の開発が進み、飼育作業が大幅に簡略化されました。飼育環境の測定や給餌、水槽の掃除等では機械化が進んでいます。


 中間育成

陸上水槽で飼育されていた種苗は放流される場所の自然環境に慣れさせ、放流種苗としての質を高め、放流に適した大きさに育つまで海上の網生簀等で中間育成されます。


 種苗放流

自然環境と対象生物の生態及び漁業の実態等を考え合わせ、適地に計画的に放流が行われます。放流にあたっては、放流された種苗が食害にあったり、商品サイズになる前に漁獲されたりしないように、放流海域で育成管理を行います。放流された種苗は、自然環境の下で成長し天然魚と混合し漁業資源に加入します。


 放流資源の管理と漁業

放流を実施した水域において、放流資源は天然資源とともに包括的に、適切な漁業管理が行われることが必要です。漁業者は種苗の育成から放流・資源管理の過程において主体的な役割を担い、これらの資源を積極的に維持・増大するため栽培漁業を実践します。種苗生産・放流や生育場・漁場の整備を行うことで、対象種はもとより種苗の放流水域に生息する水産動物全体の適切な資源管理と合理的な利用の促進にも資することが期待されています。