独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.156 栽培漁業技術シリーズ No.15
「クロソイの栽培漁業技術 −定着種の種苗生産と放流効果調査−」を刊行しました  2010/04/01
さけますセンター千歳事業所 清水 智仁
(〜2010年3月31日 本部研究推進部栽培管理課勤務)
 独立行政法人水産総合研究センターでは,体系化した栽培漁業に関わる技術を現場へ普及するために技術シリーズを刊行しています。
 技術シリーズは平成5年度に発刊した「太平洋北区におけるヒラメ種苗生産技術集」からスタートし,今回の「クロソイの栽培漁業技術−定着種の種苗生産と放流効果調査−」 で通巻15号となりました。





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 クロソイは日本周辺海域から朝鮮半島,中国を中心に生息し,日本沿岸の定置網や刺網等で漁獲されてきた重要な漁業資源です。本種は他のメバル属魚類と比較すると成長が早いことから,栽培漁業や養殖の対象魚種とされ,日本各地で種苗放流されています。また,近年は遊漁の対象としても注目されており,経済的にも重要な魚類といえます。

 クロソイの種苗生産の研究は1967年から始められ,1980年には(社)日本栽培漁業協会宮古事業場(現 独立行政法人水産総合研究センター宮古栽培漁業センター)で種苗の大量生産に向けた技術開発が開始されました。その後,宮古栽培漁業センターは,本種の種苗放流の効果を把握するため,宮古湾を中心に放流技術の開発を進め,約20年にわたる研究開発の結果,宮古魚市場での水揚げの増大や,最大23%の高い回収率といった成果を得ました。
 本書は,宮古栽培漁業センターが,胎生魚であるクロソイの独特の繁殖生態を人工飼育によって解明し,それらの知見に基づいたクロソイの栽培漁業技術を体系的にまとめあげた一冊です。
 技術開発当初は,飼育下では親魚が交尾に至らず出産しなかったり,早産や死産してしまったり,安定的に仔魚を確保することすら困難でした。問題点をひとつひとつ解決し,日々の観察や実験結果からクロソイの栽培漁業技術をまとめることができたのは,なんとしても解明しようという技術者達の情熱があったからでしょう。
 この技術は,栽培漁業に留まらず,本邦沿岸域の資源増殖,さらには水産界全体の財産と言っても過言ではないでしょう。

種苗生産したクロソイ