独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.152 平成21年度栽培漁業ブロック会議が開催されました  2010/01/12
本部研究推進部栽培管理課 栽培技術開発コーディネーター 鴨志田 正晃
 栽培漁業に関する施策や技術開発上の課題・問題点等について,情報交換や協議を行うために水産庁,都道府県,社団法人全国豊かな海づくり推進協会(以下海づくり協会),独立行政法人水産総合研究センター(以下水研センター)等の関係者が出席して,栽培漁業ブロック会議が6ブロック(太平洋北区,太平洋南区,日本海北・西区,瀬戸内海区,九州西区)で開催されました。
瀬戸内海ブロックの会議風景
 今年度の開催状況は下表の通りです。

全国共通議題
 全国に共通する議題として,栽培漁業対象種(マダイ,ヒラメ,トラフグ,サワラ)の資源評価結果と都道府県での放流効果調査の現状と問題点,今後の放流効果モニタリングの進め方について意見交換が行われました。資源評価事業については,多くの県から継続要望が出され,対象種の拡大や再生産効果についても評価してほしいなどの要望が出されました。放流効果のモニタリングについては,使える予算の仕分けに留意して活用し,その調査を行う,放流により漁獲量がどのように変化したかを最低限把握する必要がある,との意見が出されました。水研センターも必要な研究開発,技術研修等を通じてバックアップしていく所存です。

 栽培漁業の事業効果評価手法については,都道府県からの要望に基づき,産地から消費者に至る流通過程の便益が大きいことから新たに「生産者余剰(利潤)」という考え方を追加しました。今回のブロック会議での意見を踏まえて今年度中にマニュアルを完成させる予定です。

 海づくり協会からは,海域レベルの適地種苗放流体制の構築を目指すことを目的に実施している「栽培漁業資源回復等対策事業」の進捗状況と今後の進め方,都道府県での公益法人認定の申請への対応状況について説明があり,意見交換が行われました。海づくり協会への要望として公益法人認定の申請に係わる情報収集と発信が求められ,引き続き中核的な役割を担うこととなりました。

 このほか,種苗生産コストの削減対策として,トラフグの親魚養成で簡易型の閉鎖循環システムを用いることにより低コストの設備投資で冬季の加温にかかる費用を半減できる可能性について話題提供がありました。
 また,栽培業技術実証試験の優良事例として太平洋北ブロックではクロソイの中間育成及び標識放流調査,太平洋南ブロックでは高知県浦ノ内湾におけるノコギリガザミの放流追跡調査,日本海北・西ブロッ クでは美保湾におけるヒラメ試験放流,瀬戸内海ブロックではヨシエビとオニオコゼの複合中間育成による飼育環境の改善の検討,九州西ブロックでは小型トラフグ種苗の放流効果調査について報告がありました。実証試験を通じて都道府県,公益法人,漁協等が実施する中間育成,放流技術の実証化が進み,現場へ着実に定着しつつあることがうかがえます。
各ブロックの議題

 太平洋北ブロックでは,東北地域産アワビの価格低下要因とその対策について講演があり,東北地方のアワビの主要輸出先である香港での乾鮑の過剰在庫が値崩れの原因であり,ブランド管理が重要との説明がありました。
 太平洋南ブロックでは,栽培漁業関係予算の削減で栽培業センターの運営が厳しく,コスト削減と事業の効率化を求められていることから,種苗生産業務の広域連携について意見交換が行われました。各都県とも広域連携は必要と考えていますが,種苗の物品としての取り扱いや,種苗生産に失敗した場合の対応,系群や遺伝的多様性への配慮などの問題点が挙げられました。
 瀬戸内海ブロックと九州西ブロックでは,新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業で採択された育成魚礁や人工藻場といった沿岸育成場を利用したキジハタ,オニオコゼの資源増殖技術の開発の取り組みについて紹介がありました。

 近年,栽培漁業関係予算は厳しい状況にありますが,資源の状態に応じた計画的な放流や都道府県の連携などにより効率的に栽培漁業を推進していくことが求められます。このためには栽培漁業ブロック会議を通じた関係機関との意見交換や協議がますます重要になります。