独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.142 栽培漁業技術中央研修会が開催されました  2009/02/10
本部業務推進部栽培管理課  清水 智仁
 水産総合研究センターは,栽培漁業技術の普及と定着を目的として,栽培漁業技術中央研修会を毎年開催しています。本年度は,平成21年1月28,29日に大手町サンケイホールにて「栽培漁業と遊漁を考える」というテーマで開催しました。研修会には,国,都道府県の行政担当者,試験研究機関,栽培漁業センター等の関係者及び講師の計145名が参加しました。

 近年,一部の地域では,栽培漁業で放流された種苗が遊漁でも多く利用されていることがわかってきたことから,栽培漁業の経済的価値や,受益者負担について,遊漁や周辺産業を含めた議論が高まっています。そこで栽培漁業と遊漁の関わりについて幅広い分野から講演していただきました。

 まず,水産庁資源管理部沿岸沖合課 城崎和義釣人専門官から「行政の視点からの漁業と遊漁」,次いで財団法人日本釣振興会 高宮俊諦副会長から「釣り人の視点からみた放流事業」について講演していただきました。

 また,事例紹介として,
 京都大学 山下洋教授から「アメリカ合衆国の遊漁と放流」,
 上野村漁業協同組合 松本平吉代表理事組合長から「群馬県上野村漁協における渓流魚のキャッチ・アンド・リリースへの取り組み」
が講演されました。

 2日目も事例紹介として,
 京都府農林水産部水産課 岩尾敦志主査から「京都府における栽培漁業関連の取り組み-マダイ栽培漁業負担金及び協力金・サザエ採捕事業-」,
 宮城県漁業協同組合志津川支所 高橋一実指導係長から「遊漁者と共に推進する志津川湾の資源管理と栽培漁業の取り組み」,
 山形県庄内総合支庁水産課 高木牧子技師から「山形県資源回復計画に見る遊漁者の理解を得る取り組み」
について講演していただきました。

 参加者からは地域経済に及ぼす遊漁の経済効果,生態系への影響に配慮した栽培漁業や資源管理の考え方,これらの取り組みに関する国民への広報活動の重要性について様々な意見が出され,活発な議論が交わされました。

 総合討論では,水産総合研究センター業務企画部 岡研究開発コーディネーターを座長に,栽培漁業と遊漁の関わり合いの中で,漁業者も釣り人も共通の資源を利用していることを認識すること,それぞれの立場から資源を持続的に利用するためのアプローチを進めることの必要性,関係者への理解を求めるための説明方法などの議論が交わされました。

 また,財団法人神奈川県栽培漁業協会 今井為利専務より神奈川県のマダイ栽培漁業の事例を元に,これからの栽培漁業と遊漁のあり方について話題提供がありました。

 研修会参加者にとっては,栽培漁業を推進する立場から,また,休日に釣りを楽しむ立場から,両者がそれぞれに抱える問題を共通のテーマとして,これからの栽培漁業のあり方を考える上で参考になったのではないでしょうか。