独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.119 お魚の放流効果を明らかにするには??
−栽培漁業技術研修
  「市場調査を中心とした放流効果調査・解析手法に関する研修」−  2007.12.07
宮古栽培漁業センター 有瀧 真人
 水研センターでは平成16年度より,都道府県の水産試験場、栽培漁業センター、公益法人の栽培漁業関係者を対象に栽培漁業の各工程(親魚・採卵,種苗生産,放流・効果調査等)における技術の定着,普及を目的に研修を行っております。今回はその中から,宮古栽培漁業センターで平成19年10月23日〜26日に実施した「市場調査を中心とした放流効果調査・解析手法に関する研修」をご紹介します。

 この研修会は,放流の効果を精度高く推定するための標識の選択や放流・調査の設計,得られたデーターの解析などを学んでいただくために開催しています。時期は毎年10月頃,3.5日間で上記の内容の実習と講義を行います。4回目を迎えた今年は8機関,9名に参加いただき実施しました。

【研修1日目】
 まず各参加者から仕事の概要と現在抱えている問題,疑問,課題等を話してもらいます。その後,効果調査の基本・設計等のベースを説明し,放流効果調査とは何を目的に,何処に視点を置いて実施すべきかを大まかに理解していただきます。参加者の雰囲気はまだ堅く,ちょっとピリッとした感じです。

【研修2日目】
 朝から宮古魚市場に出かけ,実際のデーター取りを見学します。次に,調査の根幹である標識の特徴や選定方法を理解していただき,実際に各種標識の装着作業を体験します。一方,市場で購入したサンプルを解剖・観察し,市場調査では得られないデーターの内容や処理の仕方を実感してもらいます。少し雰囲気もほぐれ,休み時間には参加者がセンター職員を捕まえ質問する姿や,参加者間での議論が見られ始めました(写真1,2)。


写真1

写真2
【研修3日目】
 希望者のみの魚市場見学ですが,全員がそろいました。・・・ちょっと熱くなってきたようです。この日は研修の山,データー解析の講義と実習を一日かけて行います。Σ,誤差,標準偏差・・・私のまぶたと思考はどんどん閉じていきますが,参加者の眼は真剣そのもの。休み時間の議論もあちこちで活発に行われます。少し,クールダウンの意味も込めて昼食は外でバーベキューとしました(写真3,4)。

写真3

写真4
【研修4日目】
 あっという間に最終日ですが,朝から全員が市場にそろい,それぞれ魚を触り標識を探しています。いよいよエンジン全開になってきました。午前中は,宮古栽培漁業センター等が扱っている調査例の紹介。特に,調査の目的,データー解析の手法,調査の注意すべき点,過去に失敗した例,今後の展望などを話しますが,質問が頻繁に出され,予定の時間をかなりオーバーしていきます。休み時間の議論はますます拍車がかかり,ブレーキを掛けないと次の講義に移れないほどです。
 午後は,初日に出してもらった課題,疑問等を提示し,当事者にその答えを発表してもらいます。又それについてみんなで議論を重ねました。実は,それぞれの「回答」は実施してきた研修の中で出ているのですが,参加者全員のおさらいと頭の整理が目的です。初日に話してもらった時とは,全く考え方が違っていることやみんながうなずけるような「模範回答」に主催者側もほっと一安心です。
 夜は当然のことながらお酒を酌み交わしながらの「補習」。研修の内容ばかりでなくいろいろな話題で盛り上がりますが,かなりのどんちゃん騒ぎとなりました。カメラを忘れて,“しまった”と思ったのですが,証拠写真のない方が良いことも多々あり,これはこれで良しとしましょう。

 このように,本研修では放流効果調査の全体を基礎から遡り,自分たちが実施している現場に適した手法をそれぞれに実感してもらうことが大きな目的となっております。これまで4回の研修で32名の方々が受講しましたが,研修生は各職場に戻り,周りの人たちに研修で得た技術・手法を伝達していただいております。
 これからも当研修による『市場調査の輪』を広げていきたいと考えています。