独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.111 中学生の職場体験
―南伊豆栽培漁業センターでイセエビ、トラフグの仕事を手伝う―  2007.07.06
南伊豆栽培漁業センター 榮 健次
 南伊豆栽培漁業センターでは,今年も地元の南伊豆中学校3年生を対象とした職場体験学習を行いました。同中学校では教育活動の一環として,生徒の希望に応じた様々な職場体験の機会を提供するために,近隣の様々な事業所に協力を求めています。
 南伊豆栽培漁業センターでは地域貢献と栽培漁業のPRのため,積極的に職場体験学習を行っています。学校からの要請を受けて,栽培漁業センターから体験できる内容,受入れ時間,受入れ人数などの条件を提示し,その後,栽培漁業センターで職場体験を希望する生徒の代表者と直接電話で,日時や持ち物,交通手段等について,具体的な打ち合わせをします。電話口の中学生の応答は,紋切り型で言葉も朗読調で,緊張した様子が窺われます。
 平成19年6月22日(金)に,8時58分着の路線バスで中学生4名が来場しました。
 まず,本日の予定,注意事項について説明した後,施設を案内し,いよいよ種苗生産現場での体験学習が始まります。
 午前中は,水族館でも見ることができないイセエビ幼生のフイロソーマやプエルルスの飼育作業を手伝った後,親エビ水槽の管理,フイロソーマの餌となるムラサキイガイの卵巣を細かく切る作業を体験しました。午後は,遮光幕に覆われた薄暗い環境で飼育しているトラフグの種苗の観察,センター前の岸壁で天然プエルルスの採集調査を体験し,最後に,普及広報用のビデオ「イセエビ100年」を視聴して終了しました。中学生は学校で今回の体験学習のレポートを作成するため,参考となるようなパンフレットを提供し,15時51分発の路線バスで帰宅しました。
 参加した中学生たちからは
「生物飼育では餌や環境の調節が重要」
  「飼育管理の機械化が進んでいる」
  「イセエビやトラフグを飼育して資源を守ろうとする職場があることがわかった」
  「飼育担当者の説明がわかりやすかった」
  「飼育は大変だけれど、生物の成長が見えるのでおもしろい職場」
などの感想があり,好評でした。
 また,当センターの職員からは「礼儀正しく,学習態度も落ち着き,好感が持てた」との感想でした。
 職場体験学習は日常業務とは異なり,多少の負担を感じますが,職員が先生役になって,中学生を指導する姿は普段の職場では見られない雰囲気であり,職員にはいい気分転換,刺激にもなります。
 今後も,将来を担う子供たちを対象に職場体験学習を行い,栽培漁業のPRを続けていきたいと考えています。

写真1 「餌と間違えて,手をかじられないかな?」
大丈夫,魚と違って,イセエビの親は水面まで上がってこないよ。
写真2 「天然のイセエビの生態は・・・」
生徒は真剣。先生は緊張。
写真3 「透明だからよく見えないんだよ」
みんな並んでイセエビのフィロゾーマ飼育水槽をのぞき込む。
写真4 フィロゾーマに与えるムラサキイガイの生殖巣を細かく切る。
すごく楽しそう。

写真5 雨ニモ負ケズ,天然のプエルルス幼生を集めるコレクターを確認します。