独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.108 全国の栽培漁業の統計資料まとまる
     −平成17年度 栽培漁業種苗生産,入手・放流実績の刊行−  2007.04.20
業務推進部栽培管理課
 「栽培漁業種苗生産,入手・放流実績」は全国の関係機関における海産魚介類の種苗生産と種苗放流の実績を調査し,一元的にとりまとめた統計資料です。調査は,昭和52年から水産庁の委託を受けて(社)日本栽培漁業協会が行ってきましたが,平成15年10月からは独立行政法人水産総合研究センターがその業務を引き継ぎ,(社)全国豊かな海づくり協会に委託して実施しています。
 平成19年1月掲載のホームページトピックス(No.100  「平成17年度栽培漁業種苗生産,入手・放流実績」の中間取りまとめを行いました)で報告いたしました「平成17年度栽培漁業種苗生産,入手・放流実績」が,ついに刊行となりましたので,その内容をご紹介します。
(栽培漁業主要対象種の種苗生産、放流実績(S58〜H17の7EXCELファイルはこちらをご覧ください)

 平成17年度に種苗生産の対象となった種は79種で,そのうち種苗放流されたのは76種でした。ここでは,種苗生産および種苗放流された種を「魚類」,「甲殻類」,「貝類」,および「その他の動物(タコ,ウニ,ナマコ等)」に分類し,区分ごとの特徴について解説しています。

(1)魚類
 平成17年度に種苗生産された魚類は41種で合計8,730万尾であり,全国の統計で100万尾以上の生産が行われた魚種は,多い順にヒラメ,マダイ,ハタハタ,ニシン,マコガレイ,クロダイ,トラフグ,カサゴ,クロソイ,およびオニオコゼの10種です(表1)。また,種苗放流では41種で合計7,247万尾が放流されており,ヒラメ,マダイ,ハタハタ,ニシン,およびクロダイが上位5種を占め,これら5種で魚類全体の放流尾数の約80%を占めています。
表1 平成17年度 主な魚類の種苗生産および種苗放流数(単位:万尾,%)
(2)甲殻類
 平成17年度に種苗生産された甲殻類は13種で合計2億6千984万尾でした。生産数上位5種はクルマエビ,ヨシエビ,ガザミ,クマエビ,及びタイワンガザミでした。種苗放流では11種で合計2億622万個体が放流されており,クルマエビ,ヨシエビ,ガザミ,クマエビ,及びタイワンガザミが上位5種でありました。種苗生産数,種苗放流数共にクルマエビが全体の60%以上を占めています(表2)。
表2 平成17年度 主な甲殻類の種苗生産および種苗放流数 (単位:万個体,%)
(3)貝類
 平成17年度の貝類種苗生産は24種類を対象に行われ,合計29.8億個体生産されました。生産個体数の上位5種はホタテガイ,エゾアワビ,チョウセンハマグリ,クロアワビ,およびメガイアワビとなっています。貝類種苗生産数の98%はホタテガイで占められています。種苗放流では27種類で合計215億個体が放流されており,アサリ,ホタテガイ,エゾアワビ,チョウセンハマグリ,及びクロアワビが放流の上位5種を占めました。種苗生産数に比べ放流数が7倍以上あるのは,貝類の場合,天然種苗を採集して放流する場合が多いためです。天然から採苗したアサリとホタテガイが,放流個体のほとんどを占めています(表3)。
表3 平成17年度 主な貝類の種苗生産および種苗放流数   (単位:万個体,%)
(4)その他の動物
 魚類,甲殻類,貝類以外の水産動物はその他の動物として取り扱いました。
 平成17年度のその他の動物の種苗生産対象種は8種で,合計6,579万個体が生産されました。生産個体数の多い順にエゾバフンウニ,キタムラサキウニ,アカウニ,マナマコ,及びバフンウニとなっています。ウニ類の種苗生産数が全体の95%を占めています。種苗放流は8種で行われ,合計7,434万個体が放流されており,放流数の多い順にエゾバフンウニ,キタムラサキウニ,アカウニ,マナマコ,及びバフンウニとなっています。生産と同様,放流の中心はウニ類でした(表4)。
表4 平成17年度 主なその他の動物の種苗生産および種苗放流数(単位:千個体,%)
 最後に本調査の実施にあたって,各期間の調査結果をとりまとめていただいた都道府県および関係研究機関の担当者の方々,本調査にご協力頂いた水産試験場,栽培漁業センター,市町村,漁連,漁協,研究所の皆様には,この場を借りて厚く御礼申し上げます。