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| クロマグロならではの幼魚搬入時の苦労 | ||||||||
| 奄美栽培漁業センターでは,クロマグロの産卵生態を明らかにするため,どの親が,何歳から,何回の産卵を行ったのか,また1尾あたりどのぐらいの量を産卵するのか等について,採卵された卵のDNA遺伝子の解析によって調べています。このため,収容時にヨコワの全個体から第2背鰭の一部を切断して,固体ごとのDNA情報を把握するためのサンプルを採集するとともに,体内に個体識別が可能な標識を挿入しています。 クロマグロは魚体が大きくなるため,他の魚のように飼育途中でタモ網を使って取り揚げ,麻酔をかけてサンプル採取や標識挿入の作業を行うという訳にはいかないので,ヨコワ搬入時がこれらの作業を行う唯一のチャンスです。しかし,この搬入時の作業にも,他魚種にはみられないクロマグロならではの苦労があります。 本種は,取り揚げ時に生簀網を狭めると興奮して狂ったように泳ぎ出し,その結果生簀網へ衝突して死んでしまうか,生簀網との接触により生じた体表の傷からの細菌感染により死亡します。このため,ヨコワが興奮しないように遊泳状態を見ながら少しずつ生簀網を狭めなければなりません。 また,このように苦労して取り揚げたとしても手で触れるだけで粘液や鱗がはがれ,体表が細菌に侵され死亡することから,取り揚げ時の作業では,網の底がビニールでできている水タモを使って1尾ずつ慎重に海水と魚を一緒に掬うことが必要です。鰭カット及び標識の挿入作業はすべてこの水タモの中で行います。 |
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| 幼魚の生簀への収容作業 | ||||||||
| まず,ヨコワを運んできた活魚船は仮収容用の10mの円形の生簀に横付けされ(写真3),船の舷側にある船倉の魚の出入口と生簀網をトンネル状の網を使って水中で接続しました。ヨコワは明るいところへ向かって泳ぐ習性があるため,船倉の出入口部を開くと,暗くした船倉から生簀網内に一気にヨコワが移りました。 全てのヨコワを移し終えたら,次に仮収容生簀網の網底を少しずつ浅くして,隣接する取り揚げ筏の方向に網を寄せ(写真4),取り揚げ筏に設置した取り揚げ用シート(魚体が接触しても擦過傷を生じないように柔らかい生地で作製)にヨコワを移しました。 取り揚げ用シート内に15〜20尾のヨコワが入ると生簀網との間を遮断し,次にシートを少しずつ狭めて,水タモを用いて1尾ずつ取りあげました(写真5)。 |
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| 取りあげたヨコワは,手で直接触らないように注意しながら,上記で説明しましたように,第2背鰭の一部を切断(写真6)するとともに,体内に標識を埋め込みました(写真7)。標識装着及び鰭カットが終わった個体は新しい40m生簀に収容されました。 こうして,収容作業は3日間かけて行われ,631尾のヨコワを収容しました。しかし,慎重なハンドリングを行ったにもかかわらず,収容後5日目までに体表の傷の悪化(写真8)や生簀網への衝突により147尾が死亡し,本種の取り扱いの難しさを再認識させられました。 |
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| おわりに | ||||||||
| これまで,ヨコワの収容は1996年,1999年,2004年の3回行っています。収容後,産卵までには5年を要し,500g前後のヨコワが産卵する時には150〜200kgになります。1996年に搬入した群は今年10歳(400〜500kg)となりましたが,この夏すべて死亡しました。現在,産卵することができる親魚は1999年に搬入した7歳魚(300〜400kg)のみです。2004年に搬入した群は現在2歳(40〜50kg)であり,3年後の平成21年に産卵する予定です。今回搬入された群の産卵予定は平成23年であり,5年後の安定採卵を目指して,今養成が始まったところです。 | ||||||||
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