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ハモと言えば,京都の夏の風物詩ともなっている鱧料理が有名なため,関西地方の特産物と思われがちですが,実は全国各地で漁獲され,当センターが位置する鹿児島県志布志湾でも毎年50トン弱の水揚げがあります(写真1)。また,その生息域は西太平洋各地からアフリカ東海岸まで,世界の広い範囲に分布しています。 鱧料理のおかげでよく知られているハモですが,その生態には謎が多く,例えば,ハモが海でどのように産卵しているのかなどまったくわかっていません。 そこでわたしたちは,未だ神秘のベールに包まれたハモの産卵生態を明らかにするため,当センターで養成している天然のハモを用いて産卵試験を行いました。 |
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写真1 市場に水揚げされたハモと活魚で搬入されたハモ | ||||||||||||||||||||||||||||
ハモの産卵期直前の6月初旬から試験を開始しました。 雌1尾と雄2尾を4m×5m×1.5mの水槽に収容して,産卵の有無を毎日チェックし,産卵回数や産卵数などを調べました。現状では養成している雌を100%確実に産卵させる方法はまだ確立されていませんので,同様の採卵試験を8事例試みました。 その結果,6事例でハモの産卵が確認できました。そのうちの事例4では同じハモが産卵期間中に2回産卵し,事例1〜3では3回産卵していたことが明らかになりました(表1)。 |
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表1 ハモの事例別産卵状況 | ||||||||||||||||||||||||||||
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1回当りの平均産卵数は26万粒(12〜47万粒)で,複数回産卵した雌の総産卵数は60〜78万粒でした。これは瀬戸内海で調査された同じくらいの大きさの雌の孕卵数とほぼ同等の量にあたります(図1,写真2)。産卵の間隔は平均25日(14〜40日)で,回を重ねるにしたがって産卵数が減少する傾向が認められました(図2)。 |
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これまで,ハモの産卵回数について明確な結論は出ていませんでしたが,今回の試験結果から,ハモは多回産卵型の魚類であり,産卵期1回中に2〜3回の産卵を行うことが初めて明らかになりました。 今後はこれらの知見を踏まえ,ハモの安定した採卵技術の開発を進めていこうと考えています。 |
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