独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.084 栽培漁業技術シリーズNo.12 「ブリの種苗生産技術開発」を刊行しました   2006/04/18
業務推進部栽培管理課
クリックするとpdfファイルのダウンロードができるページへジャンプします 独立行政法人水産総合研究センター栽培漁業部では体系化された栽培漁業に関わる技術を現場へ普及するために技術シリーズを刊行しています。平成5年度に製作した「太平洋北区におけるヒラメ種苗生産技術集」の発刊をスタートに,今回の「ブリの種苗生産技術開発」で通巻12号となりました。
…ブリは日本列島近海を南北に移動する大型回遊魚であり,我が国の水産業の中でも最も重要な沿岸資源の一つである。本種の幼稚魚(モジャコ)は養殖用種苗として漁獲されているが,乱獲等による資源量の減少が懸念されおり,更には資源量の豊凶があり,ブリ増養殖を安定的に発展させるには天然種苗だけに依存できない状況になりつつある…(ブリの種苗生産技術開発より)。
 このような背景から,水産総合研究センターの栽培漁業センター(旧日本栽培漁業協会)では1977年に水産庁の委託を受けてブリの親魚養成技術開発に着手し,翌年からブリの種苗生産技術開発を開始しました。技術者達の寝食を忘れた技術開発が行われ,8年後にはひとつの種苗生産現場で100万尾を超える種苗生産に成功しました。その後,人工配合飼料の開発や,早期採卵技術の開発により,天然モジャコの大きさと遜色のない人工種苗を放流することが可能な技術が開発されました。
モジャコ(ブリの稚魚)
 本書は四半世紀を超えるこれまでのブリ種苗生産技術開発の成果を,歴代の担当者がこれまでのノウハウを取りまとめたものです。本編では,論文や報告書で公表された成果はもとより,観察結果や経験など,技術者の手や目から得られた情報も取り入れられています。従って,理路整然と書かれた学術書というよりは,経験の浅い技術者に向けた虎の巻的な,血の通った技術書であると思います。しかしながら,技術は日進月歩であり,本書に書かれている内容が必ずしも最新の情報とは言えません。それでも最新のテクノロジーはこれまで培った技術の積み重ねの上に成り立っており,技術者が迷った時に本書を開けば,必ず解決の糸口がみつかることと思います。
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