独立行政法人 水産総合研究センター 栽培漁業センター
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No.081 サンマ飼育魚の産卵・ふ化に成功   2006/02/10
厚岸栽培漁業センター
はじめに
 昨年12月のトピックスでサンマの大量飼育に成功したことを紹介しましたが,このほど継続飼育していたサンマの産卵・ふ化にも成功しましたのでご紹介します。
産卵状況
 今回,産卵に成功したのは水温20℃で飼育している1群(80尾)で,生後240日目に当たる12月25日に産卵が始まりました。その時の体長は約26cm,当初の産卵は2〜3日間隔で1日20〜30粒と少数でしたが,その後日を追って産卵の頻度,数量とも増加し,2月6日現在,ほぼ毎日数百粒の産卵が確認されています(写真1)。卵の受精率は100%に近く,二世が次々と誕生しています(写真2)。
 また,産卵は昼夜を問わず行われていることがわかりました。親魚は水槽の中央につり下げた産卵床に腹部をすりつけるように産卵・放精しており,このような産卵行動を頻繁に見ることができる状況が続いています(写真3)。

写真1 産卵床に産み付けられた卵

写真2 サンマの二世

写真3 産卵床に群がる親魚
産卵成功の意義
 前回のトピックスで紹介したとおり,本飼育試験はサンマの資源が変動する要因を解明するための研究の一環として東北区水産研究所や中央水産研究所と共同で実施しているものです。今回取得中の産卵デ−タは,これまで全くわからなかった当歳における産卵量を推定するための手がかりとして利用されるほか,成熟生理に関する共同研究の基礎資料としても役立てられます。また,親は産卵が終わると死んでしまうのか,といった寿命の謎を解く手がかりにもなります。
今後の取り組み
 今回産卵に成功した群は水温20℃で飼育を継続し,当歳における産卵量を解明するとともに産卵行動や寿命などに関する知見を蓄積します。1歳魚や2歳魚でも産卵するとなれば,サンマの生涯における産卵数は意外に大きいといった結果が得られるかもしれません。