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| はじめに | ||||||||
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京料理の高級素材「ぐじ」として珍重されるアカアマダイは,本州中部以南の水深30〜150mの泥底に巣穴を掘って生活する底魚です。このアカアマダイについて,宮津栽培漁業センターが1984年に開所以来,親魚養成と種苗生産技術開発に取り組んできました。1997年から人工授精による採卵技術の開発に取り組んだ結果,大型水槽での種苗生産試験が可能になり,1998年には初めて種苗放流するに至りました。しかし,天然海域での生態がほとんど明らかにされていないため,放流後の移動や定着地に関する情報が不足しており,種苗放流技術の進展に結びついていないのが現状です。 |
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材料と方法 |
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供試魚には,宮津栽培漁業センターで飼育した成魚(若狭湾西部海域産天然魚と1998年10月生まれの人工生産魚)を用いました。魚の腹腔内に小型の超音波発信機(V8SC-6L, Vemco Ltd., Canada)を埋め込み,数日間様子を見て遊泳に異常がないことを確認した後,舞鶴湾内に放流しました。放流後は,調査船に設置してリアルタイムで発信機装着魚を追跡する追跡型受信機(VR28並びにVR60)と,あらかじめ調査海域に設置しておき,受信範囲内に発信機装着魚が存在すれば,時刻と発信機番号を記録できる設置型受信機(VR2)を用いて追跡しました。2003年1月17日に天然魚4尾を放流しました。また,2003年8月12日に人工生産魚4尾,15日に天然魚6尾を放流し,現在も追跡中です。 |
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図2 アカアマダイ成魚からの信号の受信回数の日周リズム |
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| 結果と考察 | ||||||||
| 2003年1月に放流した天然魚4尾のうち2尾は,5月末まで調査海域内で追跡に成功しました。この2尾のVR2の受信記録から,2月下旬までは断続的に受信がありましたが,それ以降4月中旬までは,昼間は受信があり夜間はほとんど受信がないといった明確な日周リズムが認められました(図2)。また,日長が長くなるにつれ受信回数が増加し,より早い時間帯からより遅い時間帯まで受信される傾向がみられました。2003年8月に放流した10尾のうち人工生産魚2尾は現在も調査海域内で追跡中ですが,そのうち1尾は冬季放流魚と同様の明確な日周性が認められています。 昼間は受信できるのに夜間受信できないことは何を意味するのでしょうか。アカアマダイは巣穴を掘ると考えられていて,実際に放流された稚魚が天然海域で巣穴を掘ることがわかっています(図3)。発信機が出す超音波は障害物があると受信機の感度が下がるので,巣穴に入れば受信できなくなることが予想されます。アカアマダイはもともと水平的には大きく移動しないことから,巣穴を中心として昼間は巣穴の外に,夜間は巣穴内に潜るというほぼ24時間周期の日周行動をとっていると考えられました。この手法によって最長約5カ月間の連続追跡が可能でした。追跡は現在も継続中で,今後周年にわたったアカアマダイの行動解析を進める予定です。 |
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図3 天然海域で巣穴を掘るアカアマダイ放流種苗 |
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